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惑える魔法使いたち  作者: 未愛
第0.5章
6/9

23日⑤

ストーリー構成の都合により長らく間が空いてしまいました。申し訳ないです…

 食堂の扉を開ける音に気が付いた数人の視線が、メグと裕作の2人に集まった。


 ここにもまた、アニメや漫画で見たことのある、西洋の洋館にありがちな、アンティーク調の家具や置物、絵画などがたくさんあった。


 そして食堂のど真ん中には、真っ白なテーブルクロスが敷いてあるとても大きなテーブル。


 その大きなテーブルを囲むように、数人が座っていた。


 内1人の女子高生は本を読んでいて、メグたちが部屋に入って来た時に、一瞬だけこちらに顔を向けていたが、またすぐに持っていた本に視線を送った。


 真ん中辺りの席で向かい合ってゲームをしている男女2人組は、裕作曰く双子の姉弟らしい。

 どちらも赤い髪の毛だった。この2人もメグたちには気付いてはいたが、特に気にすることもなくゲームを再開した。


 他にも、不安げな表情で俯いている金髪ツインテールの女子高生に、

 何やら小型の機械らしきものを弄っている眼鏡の男子高生、

 洒落たデザインのカップに入った飲み物を飲んでいる男子高生、

 特に何もせずにじっとして待っている男女、と様々だった。


「あっ、おかえりー!……あれ、そっちの子は?」


 一番手前に座っていた、ピンクの髪のポニーテールの女子高生が立ち上がって話し掛けてきた。


「兄さん、もしかしてこの人も…?」


「うん、この子は僕の次にここに来たんだ。名前は……」


 話し掛けてきたのは来海桜(クルミサクラ)という女の人だった。

 ピンク色の髪をポニーテールにして、それをシュシュで結っている。メグより少し背が高い。

 裕作曰く、学年は彼と同じ高3とのことだった。


「あぁ、この子は白銀メグちゃん。僕の従妹なんだ」


「そうなんだ…!」


 来海は右手を口に当てる。メグと裕作が血縁関係にあると知り、とても驚いている様子だった。


「……短い間だけど、これからよろしく。仲良くしてね」


 来海が手を差し出してきたので、こちらも手を出し、握手を交わす。


「はい、こちらこそ…!」


 一通りの挨拶を終えると、裕作が話し掛けてきた。


「座る席は決まっていてね。テーブルの上のプレートに自分の名前が書いてあるから、その席に座って待っているように、だって」


 メグは食堂を見渡す。


 手前側の席は人で埋まっていたため、自分の席がないことが分かった。奥にいくつか空席があるので、自分の席を探すために部屋の奥へと進んでいく。


 メグは自分の席を見つけるために、奥の方へと進んでいく。


 食堂での自分たち“魔法使い”の席順や、他の魔法使いたちがどのような人物なのか。


 まだほんの少しではあるが、なんとなく、ちょっとだけ分かってきたような気がした。


 一番最初に星護館を訪れた従兄の裕作と、その次に来た来海が、向かい合う席順だった。


 裕作曰く、星護館の管理人であるセレスが、館を訪れた人物が招待された本人だと確認する。


 すると食堂へやって来て、その人物の名が記載されているプレートをテーブルに置いていたらしい。


 席順にどうやらこれといった特別な意味は無いらしく、ただ来た順で、奇数の番に来た者と、偶数の番に来た者が、向かい合うように座っているだけのようだった。そうしたら偶然にも片側は全員男子、もう片方は全員女子という席順になった。


 裕作や来海以外に、初対面の人間に気さくに話し掛けられる者はいないらしい。


 各々、読者やらゲームやら機械いじりやらに集中していたので、自分の席に辿り着くまでに、他の誰からも声を掛けられることはなかった。


「あ、あった…!」


 一番奥の席に、自分の名前の書かれたプレートを見つけた。


 一番端っこの席なので、右隣には当然人はいない。


 左隣には、水色の髪のセミロングの女子高生が座っていた。


 その彼女と、一瞬だけ目が合った。女子高生の方がすぐに目を逸らしたが。


 ……一方メグは。


 その女子生徒の青色の目が、典型的だが、まるでサファイアのようにとても綺麗だったので、思わずみとれてしまっていた。


 メグははっとして、慌てて彼女に一礼をして、隣に座る。


 ……横目でちらっと彼女の前に置いてあるプレートを見ると、それには『水城凛音(ミズシロリンネ)』と書かれてあった。


 そしてふと、向かいの席を見ると……


「あ…!」

「よっ」


 宮地が座っていた。


 来た順で座らされているのであれば、2人は館を訪れたのが一番最後だったので、仲良く一番奥の端っこに座ることになったのかもしれない。


 ともかく食堂のテーブルは、これで満席。


 宇野魅宙に招待された魔法使い、全員が揃ったということである。


 宮地が人差し指で人数を数える。すると人数は、メグと宮地を含めると12人だという事が分かった。


「思ってたより結構いるんだな……」


「……そうだね。全員が制服を着ているけど、みんな私たちと同じ学生さんなのかな?」


「何かしらの魔法で年齢詐称でもしてない限りは、そうなんじゃないか?」


「ってか、あのフードを被った人は、学生……なのか?」


 フードを被った人……とは、間違いなく裕作の事だろう。


「あの人……私の従兄なの」


「え、マジ?初耳なんだけど」


「あ……ごめんね、話す機会が無くて」


「あと、その向かいに座っている人は、兄さんと同い年なんだって。私も少しだけお話したけど」


「そう……なのか……」


 そんな風に話をしていると、どこからか声が聞こえた。


「よし、全員揃ったようだね」

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