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惑える魔法使いたち  作者: 未愛
第0.5章
2/9

23日①

 その少女は、とある町の外れに住んでいた。


 その少女の名前は白銀メグ(シロガネメグ)。高校2年生。16歳。


 名前通りの白、もしくは銀色にも見える長い髪を後ろで三つ編みにして、それを黒いリボンで結んでいる。目は紫色。


 身長は160cm前後と平均的。一方体重は、その身長の割には少し瘦せ気味に見えなくもない。


 おまけに肌もこれまた名前通りに色白で、よく周りからは心配される。


 そんな『一見美人だけどどこか幸が薄そう』というのが、彼女なのである。


 ……これでも一応主人公なのだが、果たしてそれが務まるのだろうか。



 そんな少女の元に、一通の手紙が届いた。届いたというか、普段学校で使う教科書にいつの間にか挟まっていた。


 真っ黒な封筒は、ただそれだけでも不安にさせた。特に飾り付けはされておらず、白い文字で自分のフルネームが、様付けで記載されているだけだった。


 そしてもう言葉を選ばずに言ってしまえば、血を連想させるような赤黒い封蝋には、アルファベットの「M」のような模様が刻印されていた。


 さらには差出人の名前はどこにも記載されていないという、分かりやすくもそしてあからさまに、誰もが怪しさや気味の悪さを感じるものだった。


 誰かのいたずら?何かのドッキリ?


 こんな不吉そうな封筒でまさかラブレターなんてことはない……よね?


 いずれにしても誰が?いつの間に?どうして?何のために?


「………」


 ペリッ。


 いろいろ考えている間に、少女メグは封を開ける。その手は少し震えていた。


 ……とりあえず、中身だけでも見てみよう。どうするかの判断はそれからだ。


 ◇ ◇ ◇


 ……数ヶ月後の20××年12月23日、この日メグの通う学校は2学期の終業式で、明日からは冬休みだった。

 メグは一度家に帰り、食事や家事などを済ませ、事前に準備していた荷物を持って家を出た。

 しかし、今メグが向かっているのは本来の目的地ではない。

 彼女は事前に、ある人物と待ち合わせをしていたのだ。


 ふと、しばらく家に帰らないからと、軽く掃除するつもりだったがつい時間を忘れてしまい、時間に遅れてしまったので、走って待ち合わせ場所へと向かう。


 森の入口にある小さな公園に到着してすぐ、ブランコに座っている人物を見つけ、名前を呼んだ。


「宮地くーん!」


 名前を呼ばれたその人物も、声がした方向へと上半身を向け、メグを見つけると、こっちこっち、と手招く。


「ごめんなさい、……しばらく、お家、帰らないから……。……掃除、してたら、つい……」

「いや、大丈夫。俺も今来たとこだから」

「……ちょっと、休憩させて……」


 隣のブランコに座り、呼吸を整える。


 彼のことも紹介しなくては。


 彼の名前は宮地環(ミヤジタマキ)

 焦茶色の髪で目の色はターコイズブルー。

 いつも首に右側が青色、左側が赤色のヘッドホンを掛けていて、今もしている。

 メグとはクラスメイト。ちなみに去年も同じクラスだった。

 普段は挨拶以上の交流は基本的に無く、授業のグループ活動や学校行事などで、たまに話したりする程度。


 一応言っておくが決して、喧嘩をしたりして仲が悪いのではない。性別も違うし、これといった共通点も無かったので特に話すことも無かっただけである。


 強いて言えばお互い、友達が全くいないわけではないのだが、インドア派で人付き合いも苦手な方なので、その友達とどこかへ遊びに行ったりするような交流もほとんどなかった。


 まぁ要するに、本当にただのクラスメイトだったのだ。


 ……そう、あの日までは。

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