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「なんてね。冗談。

すぐ隣なのに、泊ったりしないよ。

それこそ、お母さんたちが急に旅行に行ったりしない限り。」


泊ることを期待している自分もいたが、昨日の今日で二人きりは気まずいと思う自分もいた。


「あ、冗談か。おっけ。

てか、今日って何日だっけ。」


旅行というワードになんとなく引っかかるものを感じながら、食後のコーヒーを啜る。

俺は苦みが強いものより、浅煎りの酸味を感じるコーヒーのほうが好きだ。でも、両親は苦みの強い深煎りのコーヒーが好きなので食後はそれを飲んでいるのだが、今日は俺の好きな味だった。


「ん?7月18日だよ。

だいぶ暑くなってきたよね。」


春香は俺と同じコーヒーをアイスカフェオレにしているらしく、飲むたびにカランと音がなって涼しげだ。

というか、7月18日って、何かで聞いた気がする。

しかし、喉元に引っかかってしまって出てくる気がしない。


ふと、リビングの時計を見る。

短い針が8と9の間位にいた。長い針はと探してみれば、長い針は6を差し示していた。

8時30分、このままでは明らかに遅刻だった。


「春香!やばい、このままだと遅刻だ!」


俺が焦って叫んでも、春香は席から立ち上がったり驚いたりはしなかった、

そして春香は俺に呟くように教えてくれた。


「今日、祝日だよ。」


俺の膝がガクッと折れる。

そのまま、椅子に座ってしまう。


「はぁ~、マジかぁ。

じゃあ、どっか遊びに行く?ゲーセンとか、カラオケとか。」


「ん?いいよ。

でもせっかくだからさ、ちょっと遠出して水族館でも行こうよ。

午前中は水族館行って、昼は近くのカフェでご飯食べて、午後はショッピングモールで買い物でも市よ。」


まるで、そのコースは、


「それじゃ、デートみたいだな。」


照れた顔が見られないように俺が窓のほうを見て呟く。

でも、すぐに春香のほうを見ることになってしまった。

少し頬を赤く染めて、でも、しっかりと俺を見て彼女が言った。


「うん。デートだよ。

私、真一とデートしたい。」


それはまるで、昨日の言葉の返事のようで。


そんな状況に俺は、春香のことを強く愛おしいと思った。

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