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大好きな幼馴染がほかの男にとられないように頑張ります  作者: 完成された欠陥品
第二章

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10

 相場さんが、小さく息を吸った。


「……甘江田君」


 名前を呼ばれて、胸の奥がひくりと鳴る。

 相場さんは俯いたまま、視線を上げない。


「先に……謝らせてください」


 その声は、思っていたよりも静かだった。


「迷惑をかけました。

 怖い思いもさせたし、不安にもさせたと思います。

 本当に、ごめんなさい」


 頭が、ゆっくりと下がる。

 深く、深く。


 俺は何も言えなかった。

 言葉を挟んでいいのかも、わからなかった。


「こんなことをしていい理由なんて、ないです」


 それでも、相場さんは続けた。


「でも……どうしても、話しておきたかったんです。

 ちゃんと、伝えないまま終わるのが、怖くて」


 ぎゅっと拳を握りしめて、ようやく顔を上げる。


「私、ずっと……甘江田君のことが、好きでした」


 はっきりとした言葉だった。

 逃げも、誤魔化しもない。


「最初は、ただの憧れでした。

 優しくて、誰の話もちゃんと聞いてくれて。

 春香の隣にいるのが当たり前で……それが、すごく羨ましかった」


 相場さんの視線が、一瞬だけ春香に向く。

 そして、すぐに俺へ戻った。


「春香と付き合ったって聞いたとき、祝福しなきゃって思いました。

 頭では、ちゃんとわかってたんです」


 声が、少しだけ震える。


「でも……無理でした。

 置いていかれるみたいで、何もできなかった自分が、悔しくて」


 唇を噛みしめてから、吐き出すように言う。


「私、最後に一度だけでいいから、ちゃんと向き合ってほしかった。

 誰かの彼氏になる前じゃなくて、好きな人として」


 その言葉が、胸に重く落ちる。


「だから……間違ってるってわかってたのに、こんなやり方を選びました」


 相場さんは、もう一度頭を下げた。


「卑怯で、最低だと思います。

 それでも……」


 ゆっくりと、顔を上げる。


「好きでした。

 今も、好きです」


 その目は、潤んでいた。

 それでも逸らさず、まっすぐ俺を見ている。


「返事は、いりません。

 期待もしてません」


 小さく、笑った。


「ただ、ちゃんと伝えたかっただけです。

 好きだったってことも、傷つけてしまったことも」


 その場に、静寂が落ちた。


 春香は何も言わない。

 ただ、少し離れた場所で、黙って見ている。


 俺の胸の中は、ぐちゃぐちゃだった。

 怒りも、戸惑いも、理解しようとする気持ちも、全部が混ざっている。


 それでも、相場さんの言葉が嘘じゃないことだけは、はっきりとわかった。

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