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大好きな幼馴染がほかの男にとられないように頑張ります  作者: 完成された欠陥品
第二章

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春香 Side


「告白、していいよ。

 真一は、ちゃんと聞いてくれる人だから」


 その言葉を聞いた瞬間、紗月は俯いたまま動かなくなった。

 肩が小さく上下し、ぽた、ぽたと床に雫が落ちる。


「……ずるいですね、春香は」


 震える声で、紗月はそう呟いた。


「そんなふうに言われたら……逃げられないじゃないですか」


 しばらくして、紗月はゆっくりと顔を上げた。

 涙でぐしゃぐしゃになった顔だったが、目だけは不思議と澄んでいた。


「……わかりました」


 短く、しかしはっきりとそう言って、紗月は春香の背後に回る。


「私……ちゃんとします。

 真一君に、自分の気持ちを言います」


 春香の背中で、縄がほどける感触がした。

 きつく結ばれていたはずのそれが、驚くほどあっさりと解かれていく。


「紗月……」


「ごめんなさい」


 それだけ言って、紗月は春香の腕に残っていた最後の結び目を解いた。


 自由になった腕を下ろしながら、春香はゆっくりと立ち上がる。


「ありがとう」


 その言葉に、紗月は小さく首を振った。


「……ありがとうって言われるようなことじゃないです。

 でも……これで終わりにしたかった」


 紗月は一歩下がり、深く息を吸う。


「逃げないって、決めたので」


 その横顔は、泣いているのに不思議と落ち着いていた。

 負けを認めた人間の、静かな覚悟の顔だった。

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