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「思井さんが?
家の中を見せてもいいが、今日は両親が帰ってきているんだ。だから、あんまり疑うようなことを言わずに友人として家の中に入って探す分には構わない。」
ガチャリと音をたてて愛原君の後ろのドアが開いた。
出てきたのは愛原君とよく似ているものの、少し渋い魅力のあるイケオジな男性だった。
「拓真、お友達かい?」
おそらく、愛原君のお父さんだろう。こちらを気遣うような優し気なまなざしを見て、しまったと思った。おそらく、今の状況を考えればここにはいないだろう。
俺が考えていたシナリオなどなかったということだ。
「あぁ。父さん。少しだけ出かけてきてもいいかな。
少し甘江田君とは行き違ってしまったみたいで、ゆっくり話したいんだ。」
「あまり、遅くならないようにしなさい。
甘江田君も、拓真をよろしく頼むよ。」
すぐにでも、探しに走り出したかったが、それは良くないだろう。
俺は勝手に愛原君を犯人だと決めつけて来て、家族のだんらんを邪魔したのだ。
俺がペコっと頭を下げれば、愛原君のお父さんも頭を下げて家の中に入っていった。愛原君が、俺の腕を掴んで道路のほうに歩き始めた。
「甘江田君、一つ思い当たりがあるんだ。」
その一言に息をのむ。
同時に、携帯が鳴った。直人からの電話だった。
「真一、さっき駅に着いて仲間さんと合流したんだが、相場さんがいないんだ。
仲間さんが連絡しても相場さんと連絡が取れないらしいんだ。」
「相場さんとも連絡が取れないの?」
愛原君が、驚いたようにこちらを見た。そして、彼ははっきり俺の顔を見て告げた。
「相場?相場紗月か?
真一、聞いてくれ。俺の心当たりというのが相場紗月だ。相場紗月はお前のことが好きで…。
だから、お前と付き合い始めた春香さんが邪魔になったのかもしれない。」




