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第35話 大量討伐

 破裂音とともに、鞭打ちを与えたゴブリンが白目を剥いて倒れた。


 ……すごい。

 たった一発打っただけでわかった。【真・速度制御】のおかげでムチの動きの精度が明らかに昨日までと違う。

 相変わらず今の状態のムチの速さは目では追えないけど、感覚で自分の手の動きの通りに動いてくれているのが理解できる。

 

 これなら自分自身の動きも今までより自由が効くだろうし、ムチを狙った箇所に打ったら八割以上の確率で当てられるだろう。

 そうなったら強力な攻撃をよく効く場所、いわゆる急所に当てることができるのだから、結果的に攻撃力が上昇したことにもなる。

 もう、ただスピードとその力に任せて闇雲に打たなくていいんだ。それも悪くはなかったけど。


 速度制御を信じて高速で動きつつ、ゴブリンらの首の骨を折るように次々とムチを当てる。やはり当たりどころを狙えるようになったおかげか、高い確率で一撃で倒せているようだ。

 この能力、個人求道の力で『極』まであげることも検討した方がいいのかもしれない。少なくとも候補に入れておこう。


 ムチの射程範囲のゴブリンをなぎ倒し、移動して、またその範囲にいるゴブリンを倒す。僕が攻撃を始めてまだ一分ほど。既に15匹以上のゴブリンを葬っている。

 

 Cランクのゴゴブリンも流石に一撃では無理だけど無抵抗のまま連続で首元に攻撃を加えることで難なく倒せている。

 そして気がつけば、この穴の中央広場でいきのこっているゴブリンはBランクのゴゴゴブリン2匹だけとなっていた。


 先に横穴の中のゴブリン達から倒すか、それとも目の前にいるそいつらから倒すか。おそらくはこっちを先にしたほうがいいだろう。


 直接Bランクの魔物を倒そうとするのはこれで2回目となる。2匹一気に倒すのは初めてだ。それに穴の中にもまだ2匹残ってる。


 チャージウィップ、ギアウィップ、パワーウィップ、加えて速撃暴走。これらが織りなす今の僕にとっての最高火力の一撃。生き物に向かって打つのは初めてとなる。

 ゴゴゴゴブリンは僕だけでなく並みの大人より身長が高いため、頭を狙うのは難しい。人間でいう鎖骨あたりを狙ってみた。


 爆発するような音と鈍い殴打された音が混じって響く。

 剣や斧だったらそこから真っ二つにできていたのであろう攻撃だけど、ムチだから流石にそれはできなかった。深く肩を抉っただけ。しかしそれでも十分な威力であったようで、今の一撃でかなりのダメージを与えることに成功したようだ。


 あとはチャージウィップとギアウィップの組み合わせだけで何度か打てば倒せそうだったので、適当に何十回か全身を叩き、息の根を止めた。これでまずは一匹。


 そしてそのすぐ後に隣にいるゴゴゴブリンも同様の手順で倒し、これで二匹目。

 その二匹目を倒した瞬間に、頭の中にいつものモヤモヤが現れた。

 


<【特技強化・極】の効果が発動。

  能力進化:【擬似 ムチ使い・改】>



 まさかここに来てこれが進化するなんて。一気に何十匹、そして大物を倒したのが良かったのだろうか。

 運動が苦手な僕には、能力の補助があっても中々上がりにくいものだと思ってたから嬉しい。


 喜ぶのはひとまず置いといて、次にゴブリン達の一つ目の住処に入る。広場ほどじゃないけど大量にいた。魔法をかけた時は急いでたから数えなかったけど、今見たらだいたい20匹はいそうなのがわかった。


 ……そうだ、せっかくムチ使いとして成長したんだから、昨日まで練習しても習得できなかった技を試してみよう。

 斬るイメージで少し斜めに構え、袈裟懸けに無知を振るう。目の前にいたゴブリンの皮膚は裂け生き絶えた。



<【特技強化・極】の効果が発動。

  鞭技獲得:【スラッシュウィップ】>



 これは剣技の『スラッシュ』を真似て開発されたらしい、鞭技の斬撃攻撃。本職の人にとってはパワーウィップと同時期に習得できる基本技のようだ。

 ムチの皮膚を裂くという面を魔力で補強して強化し、斬るにまで至らせる。本家のスラッシュほど威力はないらしいけど、それでも僕にとっては貴重な技だ。やっと覚えられた。


 とはいえ今は首を打撃で狙った方が効率が良さそうなので、この部屋内にいるゴブリンには先ほどまでと同様の方法で倒すことにした。

 ランタンダケというゴブリン達が光源として設置したのであろう光るキノコの灯りを頼りに、続け様に鞭を振るう。


 結果的にゴブリンとゴゴブリン合わせて三十匹いただろうか。全然二十匹より多かった。暗くて見にくかったし見誤るのも仕方ないとは思う。


 二つ目の住処に侵入し、そこにいたゴブリン達も叩いて回る。こっちには十五匹ほど。

 そのあとは猫族の人たちが捕らえられていた場所に入り、Bランクの見張り二匹を外にいたものと同じように倒した。


 広場へ戻り一旦異常がないか確認する。猫族の人たちはこちらを不思議そうに眺めているが、特に僕がゴブリン達を倒してる間に変わったことはなかったようだ。


 これで部活のゴブリンは全て倒すことができただろうか。あとはボス部屋にいるボスだけだ。

 皆んなを救出した時もそうだったけどムチの音などがかなり響いていたはずなのになんでずっと部屋から出てこないのだろう。仮に寝ていたとしても不自然だ。


 ……とはいえ出てこないなら別にいい。というかその方がいい。Bランクを従えるなんて確実にAランク以上だし、僕だって敵うかどうかわからない。猫族の人たちの警護に回ろう。


 そう思ってボス部屋に背を向けて穴から抜けるための階段まで行こうとした瞬間、凄まじい気配がした。重苦しい重圧とでもいうべきか。。

 再びボス部屋の方をゆっくりと振り返ると、そこにはブクブクに太ったゴブリンが入り口の天井までふよふよと浮き、この広場を見回していた。






今日も午後10時にもう1話投稿します!



魔物紹介


ゴゴゴブリン/Bランク


ゴブリン、ゴゴブリンの進化系。

人間より身長が低かったゴブリンとゴゴブリンだが、ゴゴゴブリンとなると一気に2mを超える。このゴゴゴブリンからゴブリン達の群れの長をする場合がおおく、この長となったゴゴゴブリンが次の形態へと進化できる。


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> これで部活のゴブリンは全て倒すことができただろうか。あとはボス部屋にいるボスだけだ。 部活?
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