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俺は異世界人じゃない!  作者: ごましお
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 手がオーブに触れた瞬間、オーブが輝く。

 色は黄色と水色の二色だ。

 それを見て、とりあえず安心した。

 俺は魔法を使える。固有魔法の種類はどうであれ使えるだけで今は十分嬉しい。


 両親を見ると、とても驚いているように見えた。

 見たりとも開いた口がとても間抜けに見える。


「僕のこゆーまほうなんだったの?」


 その言葉で2人は我に帰る。


「あ、アレクの固有魔法は転移と記憶操作の二種類だね」


「やったよ〜! あーくん凄い!」


 転移と記憶操作。

 名前だけ聞けばかなり良い魔法じゃないか!

 あまり直接的に自分の戦闘力を上げるわけではないけど、これからの立ち回りに幅が広がりそうだ。


「やったぁ!僕って凄いの?」


 とりあえずそれっぽく喜んでおいた。

 出来ればもう少し固有魔法の情報が欲しい。子供というのは不便だなぁ。


「固有魔法の中でもかなり強力な魔法だね」


 よし、この人が言うのならば相当凄い魔法なんだろう。

 しかし、フレイの顔は曇ったままだ。


「それ故にかなり希少な魔法でもある。多分この世界に片方だけでも適正のある者が居るかわからない」


「と言うことはその二つの固有魔法を持ってるのはあーくんだけってこと〜?」


「まぁそうだろうね。しかもアレクは俺らと同じドッペルゲンガー。只でさえ希少な種族なのに更に転移と記憶操作の二種類が使えることが広まったら間違いなく狙われるね」


「確かにあーくんが狙われるかもしれないね。これはここだけの秘密にするべきなのかな」


「うん、俺はその方がいいと思う。でも、アレクは他の魔法が使えない。将来学校に行く時、俺が原因で虐められるかもしれない」


「あーくんに辛い思いをさせるのは嫌だけど、そうするしかないのかしら」


「あぁ、俺たちがアレクを強く育てよう。アレクは頭がいいから大丈夫さ」


「そうね、あーくん。こっちにおいで」


「う、うん」


 マーサに抱きしめられる。

 いつもよりも強い力で。


 今の話から察するに。

 俺はこの固有魔法を周りに秘密にして生きて行くという事だ。

 これに関しては目立つことはないため逆にいいかもしれない。

 しかし、問題はこの魔法を使いこなせるかどうか。

 魔法名は知ることができたから明日から自力で模索するしかないか。

 何も分からなかった時よりは進歩したと考えよう。


 今度も目標は固有魔法を使えるようにすること、継続して体術を教わること。


 この二つだ。

 これからは一層力を入れて励むとしよう。




 ★




 次の日の夜になった。

 昨日と今日の昼間は結局マーサが四六時中離れなかったので、1人で練習することができなかった。

 過保護にもほどがある。無視されるよりはマシだから良いんだけどね。



 記憶操作魔法はイメージがさっぱりできないので、まずは転移魔法について調べよう。


 転移。

 まず気になるのは、何を転移させることができるのかということ。

 俺自身なのか、それとも俺が触っている物、視界に入っている物。何を条件に転移魔法が発動するのか。

 一から全て調べなければならない。


 まず、魔法を使うには魔力が必要というとは本になってあった。昔、俺にも魔力があるのか確かめようとしたけど、多いのか少ないのかさっぱり分からなかった。

 もしかしたら魔法を使えば減少具合が自分でわかるかもしれない。

 少し危険だけどやってみようか。


 俺の勝手な考えだけど、大きい物の方が転移させるのに魔力を使うイメージがある。

 なので、極力小さいものを転移させてみようと思う。


 右手に持つのは少し纏まった埃。

 これを何も持っていない左手に転移させる。

 成功したら世界一無駄な転移になりそうだな。


 まぁいい、強くイメージしよう。

 右手の埃が左手に…………。



「きた!」


 右手にあった埃消え左手に埃が現れた。


 よっしゃぁあああ!!!

 成功だ!俺は転移魔法が使える!

 待て待て! 落ち着け! 冷静に今の状況を確認しよう!


 まず、俺の中にあるであろう魔力的なものは確認できなかった。埃程度では魔力の減り具合は分からないらしい。

 そして俺が触れているものは転移することが可能。

 また、この距離では転移はほぼノータイムで移動することがわかった。

 距離が遠くなればなるほど時間がかかるという線もある。

 これから実験を重ねていこう。


 やばい、楽しくなってきた。

 どんどんやっていこう!



 次は、庭で拾ってきた石ころだ。さっきよりも質量、体積共に大きい。

 物以外の条件は変えずに右手から左手の転移をやってみる。

 先ほどと同じように強くイメージする。



「うん、できた」



 先程と同じように左手に石が転移した。

 しかし、少し違うのは魔力が自分の中で減ったことが確認できたことだ。

 ほんの少しだけなので、集中しなければ気がつかないぐらいだな。

 魔力は体の一部に集まっているわけではなく、体中に血のように流れているようだ。

 実際に今は魔力の流れが急に感じられらようになった。


 なんとなく自分の魔力量もわかる。あの石を千回以上やっても余裕があるくらいだ。

 比較する対象がいないのでこれが多いのか少ないのかはわからない。あと魔力量は成長するのか?

 わからないことばかりだな。

 でも、やり甲斐はある。

 どんどん実験して行こう。





 ★




 さて、あれから一ヶ月ほどが経過した。


 転移魔法については順調だ。

 結果的には転移魔法は希少な分、かなり便利な魔法だということがわかった。

 一番必要なのはイメージ。

 イメージさえちゃんとしてれば特に物体に触れる必要なく、自分自身を転移させることも可能だ。


 しかし、イメージが出来てないと転移魔法は発動せずに失敗する。どこか変なところに移動するというわけではない。


 また、イメージした場所に何かが存在した場合にも転移魔法は失敗する。

 例えば、トイレに転移しようとイメージしてもそこに誰か人が入ってたら転移は失敗してしまう。


 転移魔法についてはこんなもんだ。


 記憶操作については未だに何も手をつけていない。


 しかし、それとは別に魔法についての授業が始まった。

 その人には主に魔力操作や転移魔法、記憶操作魔法について習っている。何でも信用できる魔術師のスペシャリストらしく、フレイの友人のようだ。

 見た目はツノが生えてる好青年で、悪魔族という一番数の多い種族らしい。

 三歳児の俺にもわかりやすく丁寧に教えてくれるいい人だ。


 昼までは負担にならない程度に少し体術を習い。昼からは授業、夜に転移魔法に関する実験を細かく行う。


 それが今の俺の習慣となっている。


 そして、時は2年流れる。


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