1 プロローグ
気がつくと真っ白な世界にいた。
ふと辺りを見回すと、俺以外にも老若男女問わず大勢の人がいた。
不思議と俺はこの状況でも落ち着いている。
それは周りの人も同じのようで、皆取り乱している様子はない。
皆、何故ここにいるのか考えているようだ。
俺も同じく、何故こんなところにいるのか思い出そうとしても、全くと言っていいほど思い出すことができない。
日本に住んでいたことや言語、一般的な常識は思い出すことができる。
しかし、自分の個人情報に関することが一切思い出せない。
これ以上、自分では何もわからないので、他の人に話しかけようとした時、白い空間に声が響いた。
「異世界にようこそ。地球人よ」
声の出所はわからない。心の中に直接語りかけているようにも思える。
「早速だが、ここにいる100人には異世界に行ってもらう。あと、騒がれるのも面倒なので今は声を出さないようにしてある」
確かめるように声を出そうとするが、声は出なかった。
俺たちはどうやらこの声の人物に支配されているも同然らしい。
今は大人しく話を聞くしかないのか。
「最初に言っておこう。これはゲームだ。ルールは単純、これから行く異世界で自由に生きてほしい。簡単であろう?」
そう言いながら、くっくっくと笑う。
その笑い声からこのゲームはそれだけではないことを想像させる。
「ただし、お前らは各自寿命が決められている。その間、何もしなければ死ぬがここにいる同郷人を殺せばもう10年間寿命が延びる。ルールは以上だ」
ゲームのルールは単純だった。
しかし、この場にいる人たちを殺さなければいけないという残酷なルールだ。
周りの人達も真っ青になって辺りを見回している。
俺も他人から見ればそう見えてそうだ。
「さて、ルール説明も終わったことだ。さっさと行ってくるが良い」
その言葉と共に目の前が真っ白になった。
ーーーーそして、光が収まると2人の男女が俺の顔を覗き込んでいた。