彰人
学校ではクラス委員の仕事を終えた菫恋が沙依を探していた。
「菫恋? どうしたの?」
「ううん、綾瀬さん居ないかと思って」
「綾瀬さんならさっさと帰ったよ、あんな騒ぎが有ったから早く帰りたかったんじゃない?」
授業中写せなかった板書を、友達にノートを見せて貰ってた美香が教えれくれる。
「そう、一緒に帰りたかったのに」
そこに居た数人のクラスメートが一成に菫恋を見た。
「瀬央さん、そんな事して大丈夫? あんまり目立たない方が良いよ。さっきだってあんな事して」
そう言っていそいそと教室を出て行った、それは重々承知している。だからこれまで菫恋は学校での沙依には関わらないようにしていた。傍観している限りにおいて学校で自分の自由を阻害されることはないし、それを否定するつもりもない。
誰だって毎日は楽しい方がいいに決まってるから。わたしだってきっと沙依じゃなければ、こうなってない。わたしにとって沙依は特別。
「大変そうね。あの先生板書消すの早いから」
「誰かさんが授業前に変なこと言うから心配で気が気じゃなかったのよ」
「助けてくれるんでしょ?」
「……わかんないよ、そんなこと。私だってハブられたくないし」
「えーー! ヤダだ助けてよー」
仰々しく手振りを交えて驚いてみせる。美香は周りを気にしながら小声で、
「じゃ、みんなの前であんな事言わないでよ、標的が綾瀬さんから菫恋に移ったら、自分が助けて貰ったからって綾瀬さんだって助けてくれるか分かんないよ」
「ええ……」
「菫恋はそう言うことをしたの」
心配で少し怒った目をして美香は菫恋を見る。菫恋は窓の外を眺めながら、微笑んでいた。
美香は少し心配そうにそれを見守る。
明日からの自分の立ち位置が心配じゃないの? 菫恋がみんなからハブられたら私はたぶん何もしてあげられないと思う。それにもしその切っ掛けを作った綾瀬さんが一緒になって菫恋を無視するような事したら私は絶対許さない。
美香はそんな事を思いながら一緒に窓の外に目をやる。校庭からは部活の元気のいい声が響いてくる。この学校でこのクラスの中だけが不自由で不安定だ。そんなことを思った。
「来週から期末テストだね」
「……きゅ、急に現実!」
「あっははは、なんか妄想でもしてた?」
「あ、いや。女子同士の性の垣根を超えた恋愛について少々」
「…………」
菫恋は真っ赤になって慌ててそっぽを向く。
「おいおい……マジかそれ。ぶっちゃけ過ぎだろ……あっ! 私は違うからね!」
そう言って美香は胸を隠す。
「あ、大丈夫。わたしこう見えて面食いだから」
「マジ、死ね! 本当に」
うわっはっはははは、人気の少なくなった教室に笑い声が響いた。
午後の六時前になって、その日最後の献血の作業が終了した、割と早めに帰れそうだ。
献血ルームの受付奥の事務室で在庫管理作業をしながら時計を確認する。
そういえば、一昨日ツイッターで知り合った由結ちゃんに今日会えるか連絡しておかないと。
彰人はそう思って急いでロッカールームへ行き、自分のロッカーから携帯を出す。就業中は携帯は厳禁なのが辛い、出会うための仕込みは随時必要だと言うのに。画面を見るとDMが届いていた。差出人は(ブス専だけどおっぱいGカップだったわ@□s○Kt○□mW□6)
沙依だった。
【進路っていつ頃決めた?】
なんだ、このDMは……。色気もなんもねぇ。まったく興味の湧かない話だ。
このまま無視してしまおうかとも思ったが。
いやいや、あれで沙依ちゃんはかなり可愛いからな、揶揄いがいもあるし。ここは丁寧にいい人アピールをしておくべきか、うん。
沙依へは適当に返信を済ませて、目的の由結ちゃんに連絡を取る。写メを交換したが、本当ならGカップ女子だ!
沙依ちゃんのように『私まだ中学時代のブラ余裕で付けられます!』って感じではないはず! 多分。
ふん! と興奮気味に鼻を鳴らして。残してきた仕事を片付けに戻る。
お局さんの長話をうまく回避して、残務をこなす。時計を見ると六時二十分。
「お疲れ様でした、お先に失礼します」
平然と部屋を後にして、廊下でダッシュ! ロッカールームに向かう、携帯をチェックして、
「駅に七時か……ちょっと時間が空くな」
急にモチベーションを下げながら着替えを済ませて献血ルームを出る。どこかで時間を潰すか、それとももう帰るか? ビルを出ると、会社帰りの連中が駅へ向かって流れて行く。
ファストフードでも行って、ゆっくりして待つか。
そう思い直して歩き始める、彰人はこう言う予定の隙間のような時間が嫌いだった。こう言った手持ち無沙汰の時間は決まって自分の事に意識が向いてしまう。
通り沿いのファストフードに入って、コーヒーだけを頼む。一分も待つ事なくコーヒーが出てくる。それを持って学生や親子連れの隙間をぬって空席に滑り込む、幸い滞在時間は十分くらいで済みそうだ。ありがたい。自分から目を背ける様に熱々のコーヒーに口をつける、
「熱っ!」
彰人は猫舌では無かったがこのコーヒーは熱過ぎるくらいで、酸味も苦味も何も感じなかった。夏にホットコーヒーを飲む人間は少ないのか、一体どれだけ温められてたんだこのコーヒーはと手の中のカップに向かって軽蔑の眼差しを示す。蓋を外して、ふー、ふーと息をかけて冷ます。
携帯を出してイヤフォンを挿す、音楽アプリから、恋音の楽曲を選んで再生する。
耳から頭の真ん中にかけて反響する恋音の声が心地いい。彰人は今年で三十五になる、この歳になってくると友達や同僚とする話は仕事のことが中心で、少数の気の早い連中が健康の話を始めるのが常、自分の好きな音楽の話しをする相手は周りには居なかった。イヤ、正確には沙依以外にはいなかった。そういう意味でも沙依は大事にしないといけないな。
携帯を眺めていると不意にメールアプリに着信を知らせるマークが付いている、あまり良い予感は無かったが開いて見てみると、別居中の妻から、やはり離婚したいという内容のメールだった。
はぁ……。
別れるつもりはない、僕は妻を愛してる。同僚にはこんな話は出来ない、会社では良き夫、良き社会人として振る舞っているし、愚痴を聞いてくれるのは行きつけのスナックの連中くらいのものだ。それだっていい顔はしない、原因が僕の浮気だからだ。
大抵の場合は逆に説教されてしまうのがオチだった。
彰人は通い始めた頃はスナックってもっと場末の自分と同じクズの集まりのような印象を持っていたが、よく良く話してみると良識のある人が多い。彰人が通っている『スナックあけみ』は大学の同期が連れて行ってくれたのが最初だった、たまにそいつと居合わせてしまうのが難点だったが、彰人の下ネタも楽しく受け流してくれるし、何かと波長があって何より飲んでいて楽しい。
そういえば、別居してからまだ行ってないな……。
時計を確認する、そろそろ駅へ向かうにはいい頃だ。彰人は飲みかけのコーヒーをもって、店を出た。さっき妻からのメールを見てしまったのが間違いだった、どうにもテンションが上がらない。駅までの道すがら気持ちを引きずるように俯いて歩く、別居以来一人で食事をするのが辛い、余計な事をあれこれと考えてしまって気持ちが前向きにならない、だからついツイッターなど(#出会い)と書いてる奴の中から、すぐに会いたがるような、胡散臭い奴に割り切って、食事をしたり、そのまま飲みに行ったりする。大抵はOLの場合が多いが、中には未成年もいるだろう。誰かと一緒に居られればそれ以外はどうでもよかった。
待ち合わせの場所に着くと、目印に週刊誌を持っていることを伝えておいたので、それをカバンの中から取り出して、分かるようにアピールする。写メ交換していると言っても、大抵は加工しているので会ってみるまではどんな人なのかわからない。こちらもそれは同じなので文句は言わないが、誰も来ないって事もよくあった。
座って携帯を見ていると、誰かが近づいてくる気配があった、顔をあげる…………。
OH……。誰だ? お前……。 まったく写真と違うんだが……。
「す、すみません。スノーマンさんですかぁ?」
片言の日本語? 女子高生どころか、日本人すら怪しいんだが。
「いえ、違います」
はぁ……。
キョロキョロと待ち合わせの人を探す由結ちゃんをその場で見送り、そっとため息をついた。
だめだ今日は今から他の誰か誘って……やっぱ帰るか? そうだ! 沙依ちゃん誘ってみるか。
彰人は沙依にDMを送って、もうすっかり覚めてしまったコーヒーを一口啜った。
沙依にしては割と早く返事が来た、助かる。日が落ちて来たとは言え外は蒸し暑かった。【勉強中】
相変わらず色気も何もねーなこの子は。何を勉強してんだ。
【算数】
算数って、数学だよな。
【そう、二次関数。面白いよ】
面白いのか? まぁ高校の数学くらいなら余裕でいけるだろう。
【えー、大丈夫かよー 嘘教えない?】
嘘って……まあいいや、ファミレスだったらどこだろう。
【永谷園】
永……お茶漬けって感じじゃないな、○○駅にあるガストなら分かるだろう。とりあえずこれで一人飯は回避だな。クズ人間でいるのも楽じゃないもんだ。
さっきまでとは変わって軽い足取りで駅へ向かって歩いてゆく。通り沿いの飲食店から漂う香りも食欲を刺激するように感じた。
先に行って二次関数の予習でもしとくか、ちょっと怪しいし。
駅ビル近くのファミレスに入って禁煙席に通してもらい、連れがもう直来るので揃ったら注文する旨を店員に伝えた、水を口に含みながらスマホを取り出して二次関数と検索する。沙依ちゃんがどこで躓いてるのか分からないのでザッとサイト全体を見て、公式など思い出せる事を把握する。
「懐かしい、やったなこんなこと」
待っている間の時間が嫌だと思ったが、こうして調べごとでもしていれば気が紛れて助かる。三十分くらいはたっぷり待っただろうか、カウンターで店員に待ち合わせしていると話している沙依が目に入った。彰人は軽く手を上げ合図する。
「お待たせ」
トートバッグをぶら下げて、アップルグリーンの膝下ワンピースにレースのペチコートスカートを履いた沙依が近づいてくる。
「どこのお姫様かと思ったよ」
「ベタだなぁ……でも、ありがと」
「……へぇ、私服は可愛い感じのが好きなんだな……似合うよ。可愛い」
「……うん」
「顔赤いぞ」
「い、言われ慣れてないから、あんま見ないで」
彰人は携帯を置いて店員の呼び出しボタンを押す。
「ご飯食べた?」
「まだだけど、先に食べてて良かったのに」
それじゃ、ただの勉強会だろ!
思わず言いそうになるを堪えて、注文端末を持って駆けつけて来た店員に注文を伝える。彰人はローストビーフの十三穀米サラダご飯、沙依はオムライスを頼んだ。今朝お母さんが残業がありそうだからと言って晩ご飯代を貰っていたので、大好きなオムライスにした。
ご飯が運ばれてくるまで沙依は教材をテーブルに広げる。彰人は頬杖をついてそれを眺める、幸い今日の沙依は私服なのでいつもよりもっと幼く見える、ギリギリ親子と見えなくもないだろう。この間のようにジロジロ見られなくても済む。多少シャクな所はあるが。
「沙依ちゃん、勉強好きなの?」
「数学だけ。彰人さんは奥さんと何かあったとか?」
ふっと鼻で笑う。
「なんで?」
「別に、一人でご飯食べるの寂しいのかなって思って」
チラッと彰人の顔色を伺うように、視線をおくる。
こんな子供にまで心配されてりゃ世話無いな。
「あ、そこ違う。a>0だから、グラフは頂点が……」
「あ、そうか」
問題を五つほど解いたところで食事が運ばれて来たので、二人で食べ始める。
「いただきます」
彰人は自分の皿からローストビーフを一枚、沙依の皿に乗せた。
「ん?」
「お裾分け」
そう言って彰人はニッコリと笑う。ならばと沙衣もオムライスを一すくい彰人へ差し出す、彰人は、アン、と口を開けて頬張る。
「うん、うまい。うまい」
二人で食事しながらオムライスの話しをして過ごした。お題はオムライスの中はケチャップライスか白いご飯かだ。沙依はケチャップライスのオムライスが好き、お母さんの作ってくれるオムライスは昔から赤いケチャップのチキンライスに薄い卵焼きが乗せてある。彰人は今風のふわふわデミグラスソースのオムライス派。
「む! 私たち趣味が合わないな」
楽しく食事しているとトイレから出て来た一人の女性客がテーブルの前で足を止めた。
「ご機嫌ね、彰人くん」
聞こえた声は少し怖ばった緊張が感じられる。沙依の横に立って彰人を見下ろす女性に彰人は見覚えがあった。長い髪をアップで上品にまとめ上げ、会社帰りなのかスーツ姿で、いかにも女性らしいプロポーションをしていた。子供っぽい沙依の対局にいる大人の女性。
「あなた今いくつ?」
「十六」
女は驚いた顔を隠そうともせず彰人へ険しい目を向けた。彰人の隣りに腰を降ろして腕彰人の後ろへ回し、足を組んだ。随分横柄な態度で沙依を睨んでいる。
「彰人くん、この状況を説明してくれると助かるのだけど」
「ああ、そう言うんじゃないんだ」
沙依は残り少なくなったオムライスをキレイに食べ切って両手を合わせた。どうやら大人同士の話でも始まるのだろう、邪魔にならないよう大人しく勉強している事にした。
呼び出しのボタンを押して食べ終わったお皿を片付けて貰い、テーブルにノートを広げる。後は大人同士でお好きにどうぞ。と言うつもりだったが、同席した女の人はそれが気に触ったようで沙依を睨みつける。
「じゃこのチンチクリンは何なの?」
チンチクリンって……。
どうやら今日は勉強にはならない気がしてきた。
「別に関係無いでしょ」
「それじゃ、分からないわ」
この人は何なんだろう?
沙依は溜め息をついて彰人に目で訪ねる。
「ああ、この人は義理のお姉さんで高木菜那さん」
菜那は彰人に肩が触れるくらい近くに座り直す。
義理の姉ってことは彰人さんの奥さんのお姉さん? 奥さんの代わりに問い正そうって事? でもお姉さんなら彰人さんの浮気の事は知ってるんでしょ? だったらもっと彰人さんを問い詰めるんじゃない? 別居中なんだし。
にしても距離が近いなこのお姉さん、ドラマとかで見るキャバ嬢みたいな感じ。胸当たってるし……わざと?
沙依は、うん。とうなずいて、
「彰人さんに、たまに勉強見てもらってます」
沙依は当たり障りのないように説明したつもりだったが、
「ふっ、勉強って……」
鼻で笑うような嘲笑と、わずかに口角が上がり声を出さずに口が動いたきがした……泥棒猫
沙依はムッとした表情を見せたが同時に手にしていた携帯がピン! と音を立てた。
「別にあんたが想像してるような事じゃないから、安心してよ」
携帯から目も上げずに説明する、こう言う年功序列がブラジャーつけて歩いてるようなタイプは苦手だ、自分の満足いく返答が帰ってくるまで相手を言いくるめようとするんだ。
いままでの大人は殆どこのタイプだ。
「何よ。その口の利き方! ちょっと! 聞いてんの?」
沙依が携帯を操作している間に、彰人は菜那の様子を伺う。
「それより今日はどうしたんですか? こんなところで珍しいですね」
菜那はため息をついて彰人へ向き直す、
「彰人くんこそ、最近は滅多に顔出さないじゃ無いの、妹はあなたが来るのを待ってると思うわよ」
ふふっと菜那は沙依に大して見せていた態度とは一転して優しく笑う。
沙依は携帯をバッグの脇に置いて向かいの席の二人を見る。
これじゃまるで……。いや、私には関係ないや、怒られるわけでもなさそうだし。別に怒られる事もしてないし。
まぁ、他所の家族の事だ、こう言う距離の近い人も居るかもしれない。
無視して勉強しようかと思ったが、目の前でベタベタしている動きが気になった。彰人は少し嫌がっている素振りをしているが、腕を組んでコソコソと話している、菜那は顔が少し赤いようだ、お酒でも飲んでいるのかもしれないが、それにしても……。
「お邪魔なようだから私帰るね」
「そうね、子供は帰って寝なさい」
菜那は勝ったような笑みを浮かべて沙依に手を振る、さっさと帰れって嫌味を込めて。
たまりかねた彰人が中に割って入ってくる、
「まぁまぁ、菜那さん。誰かと一緒に来てるんじゃないの? 大丈夫?」
「あ! ヤバイ。忘れてわ」
菜那はそう言うと彰人に小さく耳打ちして、沙依に一睨み利かせて自分の席に帰って行った。沙依は思わず菜那の後ろ姿に中指を立てる。それを見て彰人は声を出して笑う。
「あはは、まぁ、座ったらどう?」
沙依は大げさに機嫌を損ねた感じで、ドカッと座り直すと彰人のスネを思いっきり蹴った。
「痛った! 何だよ!」
「あれ、彰人さんの浮気の相手でしょ? バレてもまだ続いてるんだ、しかもお姉ちゃんとってよくやるよ」
「…………」
彰人は拗ねを摩りながら、否定も肯定もしない。沙依はジッとそれを見て、思いを巡らす。
「……あの人だけじゃないんだ?」
彰人はおもむろに咳払いをして食べかけのサラダにフォークを刺す。
「好きなの? 今の人のこと」
「いや、別に……」
うぇーー。思わず明から様な嫌悪が表に出てしまう。
あははは、くっくっく。彰人は肩を揺らして笑う。
「あの人だって別に僕のことが好きなわけじゃないよ、あんまり仲が良くないんだあの姉妹は、だから殆ど妹への当て付けじゃないかな」
一人っ子の沙依には想像できない、兄弟だからといって無条件で一緒にはいられないのだろうか? そんな疑問が浮かぶ。
「なんか、寂しいね」
頬杖をついて参考書をペラペラとめくる。
「彰人さんって少しは尊敬出来る所残ってないの?」
「あるよ」
「へー……。どの辺が?」
「くじ運かな! ほら、八月の恋音の追加公演チケット当たったけど、沙依ちゃんは?」
ニヤリと微笑えんで携帯のチケット当選のページを見せてくる。
同じ穴のムジナだと思ってたのに……、ダメ人間の中でさえヒエラルキーが存在するのか……。沙依はそっぽを向いて拗ねる。
羨ましくて泣きそう。
「進呈してもいいんだけどさ、一緒に行く?」
「いく!」
「即答だね。じゃぁ、お願い聞いてくれる?」
顔全体で不服を申し立てる。
「……どうせ、また変なことでしょう?」
「全然変じゃないし、言ったことないだろ? 変なことなんて」
「どうだか……」