増産性
掲載日:2019/01/19
K国立飢餓対策センターのJ研究員は、作物の収穫量を二倍にする遺伝子組み換えの技術を開発した。七転八倒、血の涙がにじむ積年の努力の結果であった。
「やった、ついにやったぞ!!これで我が国の飢餓問題はとりあえずは落ち着くだろう。僕も故郷に錦を飾り、何代かの後には僕の名前が、新学生が眠たげにめくる教科書に載るなんてことがあるやもしれぬ。」
飢餓対策センターは直ぐに会見を開き、此度の研究成果を誇らしげに発表した。
J研究員は細長い机にちょこなんと座り、マイクの剣山をちらちら見ながら、研究の成果を細々と報道陣に説明する。フラッシュに照らされた彼の顔からは、緊張と歓喜の色がわかりやすく感じ取れた。
それから、J研究員の増産技術ははやくも国内で実用化され、K国津々浦々まで浸透した。なるほど確かに収穫される作物は今までの二倍になり、近年の人口爆発の影響で粥を二倍に薄めて食べていたようなひもじい国民の腹を満たした。
J研究員はK国の大臣から勲章やらをじゃらじゃら貰い、またある大学からは特任教授として招聘された。部屋付きの研究員になったJは、すぐ又次の研究に取り掛かった。
数年後のある昼下がり、J教授の研究室に続く廊下に慌ただしいスリッパの音が響き渡る。
「J教授!!国内で生まれる子供が、全て双子になりました!」




