生メイド
(誰かが近くにいる気配がする…)
薄っすらと目を開けていくと、そこは豪華な天蓋付きのベットの上だった。
(これってお姫様ベットとかっていうやつかな?)
目だけを動かしながら辺りを見てみるとメイドさんらしき人が何かを用意しているようだった。
「ん?…だれ…?」
その言葉に気がついたのだとわかったメイドさんが慌ててこちらに走ってきた。
「雛様お目覚めになられたのですね!ご気分は大丈夫ですか!?」
(…………その前に貴女はダレ…?)
そう思いながらもユックリ起き上がって答える。
「大丈夫です…ご心配をおかけしました…」
言いながらペコリと頭をさげる。
「そのように頭を下げないでくださいませ!
あっ!申し遅れました!わたくしマリーと申します。
雛様付きのメイドを仰せつかりました。
マリーとお呼びください。」
ニッコリ笑う生メイドさんに少し興奮する雛であった。
歳は雛とそんなに変わらないだろう。
茶色の髪に少し高めの位置にお団子がちょこんと乗っていた。
そして何より可愛かった…
クリクリおめめに通った鼻筋、薄い唇はピンク色だ。
(これはモテるだろうなぁ〜………羨ましい……)
「雛様がお目覚めになったらお呼びするようにと騎士団長様より言付かっております。
お茶をお入れしましたのでお飲みになってお待ちくださいませ。」
いつの間に用意していたのか、湯気の立つティーカップを差し出される。
その言葉で自分が何故倒れたのか思い出した。
もう帰れないかもしれない…
その言葉がグルグルと頭をまわる。
(ここって病院有るんだよね…?
その前にここでの生活どうしよう…)
色々な事が頭によぎるが全然思考がまとまらない。
その時ノックの音がした。
「ジャンダルだ、入ってもいいかな?」
「どうぞ」
「…失礼する」
申し訳なさそうに入ってきたその人に雛は、大丈夫とでも言うかのように微笑む。
「雛…すまない事をした…」
その言葉に後ろで控えていたマリーが目を見開く。
(マリーさんや…そんなに驚く事かい?)
クリクリおめめを最大限見開くマリーに、目がこぼれ落ちそうだなと思ってしまう。
だがマリーが驚くのも無理は無い。
本来のジャンダルは騎士団団長という立場もあるがクランベル王国の英雄として活躍している人物なのだ。
おいそれと頭を下げるような人物ではないと噂になっているにも関わらず、目の前で頭を下げているのだから。
「…雛?」
「すみません!…気にしないでください。
本当の事を教えてくれたのですから…」
「だが雛の気持ちも考えず言ってしまった事は謝らせて欲しい…
すまなかった!」
そう言って頭を下げたまま喋りだす。
「期待を持たせたままでいる事が雛にとって良くないのではと思ったんだが…俺の思い込みで雛を傷付けた…
騎士として相応しい振る舞いでは無かった…」
「頭を上げてください!
もう気にしてませんから!
それに私の事を思って話してくれたんでしょう?」
気にしてないと少しのウソを言いながらも、本当の事を話してくれたジャンダルに感謝していたのも本当だ。
気持ちの整理をつけて残り少ない人生を前向きに生きる為には必要な事だったのだから。
時間は大事に使いたい…そう思っていたのだ。
「そうそう!国王様に謁見?するんですよね!
時間は大丈夫なんですか?」
この雰囲気を壊したくてワザと明るく話しかける。
「謁見は雛の準備が整い次第という事になっているからユックリ準備するといい。」
「えっ!?
それって国王様を待たせてるって事じゃないですか!?
今から行きます!」
「身支度を整えてからでいい。
君に似合いそうなドレスも用意させてある。
好きなのを着るといい。」
そう言いながらマリーに目配せする。
「さぁ!雛様!準備致しましょう!腕がなりますわ!」
(……あっ…何だか嫌な予感が…)
その予感はすぐに当たる事になる。
その後雛の悲鳴が屋敷に響き渡る事になった…。
ブクマ登録ありがとうございます!
チマチマ書いておりますが、文才が無いので超苦労して書いてます(^_^;)
読みにくかったりするとは思いますがヌルい目で見守ってやってくださると有り難いです!