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あぁ勘違い…




「あっ…ジャンダルさんがきた…」




いつも来るよりも早い時間帯に首をかしげながらもジャンダルが近づくの待つ。

その顔つきは普段見せる困ったかのような顔では無く、とても晴れやかなものであった。



「※※※※※※※※※」



いつもわからない言葉で話しかけられながらも、出てくるように…とのジェスチャーをされて雛の頭は混乱していた。


(出してくれる事になったのかな?)



そう思いながらもジャンダルの後について行くと、誰もいない別室に入っていく。

少し大きめのテーブルと二人がけのソファが向かい合って置いてあった。

ここは普段来客用に使われていたのだが、内密の話しをするには持ってこいな場所でもあった。



ジャンダルが腰掛けたソファの向かいに座るように手で指し示されたので雛はユックリ腰をおろした。



「※※※※※※※※※」



わからない言葉とともに差し出されたのは、とても綺麗な腕輪だった。



(うわっ!メッチャ高そう!)



困惑とともにジャンダルの顔を見るとニッコリ微笑まれて雛はたじろぐ。



「これって今までのと違って高価な品物だよね?」



ジャンダルが腕輪を腕に付けるようにジェスチャーをするが、さすがに二の足を踏んでしまう。



(これってまさか求愛的な何かとか?それならさすがに受け取れないって言わないと…

でも通じないんだよなぁ〜)



どうしたものかと思案する雛にジャンダルは声を掛ける。


「※※※※※※※※※?」



困った顔をしながらもずっとジェスチャーし続ける。



「ごめんなさい!受け取れません!」



頭を下げながらも腕輪をジャンダルの方へ返すとビックリされた。


(えっ?そんなに自信あったの?ってかいつの間に好きになったんだろう…?)



余命宣告されてる身でありながらジャンダルの気持ちを受け入れる事が出来なかったのだ。



(いくら恋愛したかったって言っても…さすがに……)



それでも必死に雛へ腕輪を渡そうとするジャンダルと、受け取れないと返す雛の攻防はその後30分程続く事になった。









疲弊したジャンダルと困惑した雛が揃って溜息をついた瞬間、2人は顔を見合わせ笑ってしまう。



「2人して何してるんだろね〜」


クスクス笑いながら喋る雛の腕を突然捕まえたジャンダルに有無を言わさず腕輪をつけられた。



「えっ!」



その途端不思議な変化がおこったのだ。



「俺の言葉がわかるか?」




今まで意味のなさなかった言葉の意味がわかるようになったのだ。



「…どういう事ですか!?」



その言葉にジャンダルはホッとした顔をした。

雛の言葉もわかるようになっていたからだ。



「この腕輪は魔導具でな、つけた者の言葉を翻訳してくれるんだ。

返された時はどうしようかと思ったよ。」



そう安堵の表情をしながらこぼすジャンダルに雛は1言………




「これってジャンダルさんが腕輪をつけても良かったんじゃ……?」




「…………………………………あっ………」



その言葉にジャンダルが思いきり目を見開いて驚いたそのすぐ後、もの凄く落ち込む事になった。

意志の疎通をするならばジャンダルが腕輪をつけて説明した後に雛に渡すのが1番早かったのだと……



(でもこれが翻訳する腕輪って事は恋愛うんぬんって事じゃ無かったって事か………………………恥かかなくて良かった!!!)



この勘違いのせいで雛はあることを固く誓ったのだ。



(もう絶対自惚れない!!!)




雛がそう誓っている横でジャンダルは復活していた。



「……と、とりあえずこれからの予定を伝えておこう」




「…はい」



ジャンダルによるとこの後王宮に行って国王様との謁見があるとの事だったのだが………



「その前に1つ質問してもいいですか!?」



「構わないよ」



「ここってどこですか!?」



その言葉に少し考えたジャンダルは反対に質問する事にした。


「…雛…君の認識する…住んでいた場所の名前を教えてくれないか?」



質問に質問で返されると思ってなかった雛はビックリしながらもおずおずと話し始める。


「私の住んでた所は日本の横浜です。でもここはどう考えても私が住んでた横浜だとは思えないんです…

急に喋れるようになった事も不思議だし、あの照明だって私がいた場所にはなかったものよ…

外国人の多い街ではあったから、そのどこかにでも紛れ込んだのだと言われたとしても到底信じられない事ばかりおこってるの。」



「………雛…とても言いにくい事ではあるのだが……ここは君のいた世界ではないんだ。

クランベル王国といってこの世界では1,2を争うほどの大国なんだ。」


その言葉に息を飲み込む雛にさらに言葉をつのる。



「このクランベルには大小様々な村や街が沢山あるが横浜という村も街も聞いた事が無い…

それに…この国には言い伝えられている事がある。」


「……言い伝え…?」



「異世界からの渡り人の存在だ。」



「……異世界!?」



静かに頷くジャンダルに雛は騙されているんだろうかと思案する。

到底信じられる事では無かったのだ。



「それと………こちらから君の世界へ帰る手段が無いかもしれない…」




その瞬間ジャンダルの慌てた顔が見えた気がしたが雛には何がおきているのかがわからなかった。


雛は意識を手放していたからだ。



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