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丘の上



「…ん?」


そよ風が雛の頰にあたり気持ちがいい。


でもその違和感に気がついた雛がユックリと目を開けていく。


「あれ?…ここ…どこ?」


慌てて起き上がった雛は辺りを見渡した。


近くに何もない丘の上。

きっとピクニックにでも来たら気持ちが良いのではないかという景色。


でも雛にはここまで来た記憶が全く無かった。


「まさか夢遊病…とか?」

(いやいや!そんな事は無いハズ!)


でも、とも思ってしまう


先程病院からの帰り道ですらどうやって帰って来たのか覚えてなかったのだ。


きっとまたフラフラと出てきてしまったのでは無いかと思ってしまったのだ。


「とりあえず、ここがどこなのか誰かに聞かないと…」


そう思いながらも雛は自分の姿を確認してみた。


病院から帰ってきたままの姿で寝入ってしまったから、外にいても不思議ではない格好にホッとする。




(ポケットの中に薬が入ってる)


いつものピルケースをちゃんと携帯していたことに安堵のため息をつく


(これは私の命綱だから…)


「よし!とりあえず誰か探さないと!」



気合を入れて歩き出す…と、足に違和感が…


「靴…はくの忘れて出たのか…」


ため息をつきながら、仕方なく歩き出す。


「私どうやってここまできたんだろ?」


いろんな考えがグルグルと頭を回るがどれも正解ではないような気がするのはなぜだろう?

そう思いながらも必死に足を動かす雛の前に道らしきものが見えてきた。


左右に伸びる一本道、これはどちらに進むのが正解なのか…


右を見ても左を見ても街らしきものが見えない。


「私ってば一体どんな田舎まで出てきてしまったのよ!」



そう叫ばずにはいられなかった。


「むむむっ…右!右にする!」


誰も聞いていないのにそう宣言してから右へと歩いて行く。


ひたすら続く道に雛の体力は少しづつ削られていく。


「こんなに歩いたの久しぶりかも…」


ハァハァ言いながらも必死に足を動かしていると林が見えてきた。


「これは引き返した方が良いのかな?」


だが今歩いた距離をまた歩いた上にさらに歩く事を考えると気が重くなる。


「一か八か、この先に街があるのを期待するしか無いか…」


そう呟きながら林にユックリ入っていく。


木漏れ日の中、鳥たちの鳴き声を聞きながら歩いていると気持ちが落ち着くのを実感していた。


「こんな状況で落ち着いていられる私って大物かも」


クスクスと笑いが止まらない


「♪〜♪〜」


ついつい歌まで歌ってしまった。


身体は疲れていても気分がよくなってきていたのだ。





しばらく歩くと林の終わりが見えてきた。


「良かった…」


無事林を抜けれた事に安堵しながら歩みを続けようとした瞬間、心臓の辺りに違和感を覚えた。




「今は…ダメ…!」




そうは言っても違和感が大きくなる。


雛は近くの木に身体を預けながら大きくなってくる心臓の痛みに慌てて薬を飲みほす。


(苦しい…!痛い…!……誰か…た…すけ…て………)



そう思いながら雛は意識を手放した。



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