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時の旅人online  作者: まえだすすむ
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ゲームの世界に閉じ込められた

初めての執筆です。かなり適当な内容ですが、良かったら読んで下さい。

 今日は「時の旅人online」の正式サービスが開始される日である。正確にはもうサービスは始まっている。今日の朝9時に始まったらしい。今日は朝から授業があったから、ゲームだし、まあそんな張り切ってやる必要ないだろうと思って、とにかく今はおとなしく授業を聞いている。え、だって授業って結構楽しいじゃん。教える先生と自分の興味に左右されることは間違いないけど、とにかく、今日の2限の授業は楽しい。まあ、1限は微妙だけど。あの授業出席取るからな。そもそもオレは真面目だからな。え、自分で真面目とか言うやつは信用できないって? う、うん...。すいませんでした。嘘つきました。あと1回しかこの授業休めないからです。小心者なのでこれ以上授業休みたくないです。後1回は保険で取っておきたいというか、そういう感じです。ゲーム好きな人は1限からサボってやっている人もいるっぽいけど。その人ら単位ヤバいらしい。うん、納得。小心者って言うのも単位を取る上では大事。今日は午後から授業ないから午後からやってみようと思っている。


 VRを利用したゲーム(VRを利用したゲームはもっと前に出ているんだけど、これはもっと画期的なやつ。オレでは説明できない)の発表から数ヶ月。発売されたゲームにはいくつか種類があったが、オレは良く知らない。基本的にゲームはやらないし。でもVRには興味はあったから気になってはいた。テレビで見ていると、そのVRのためのハードウェアの方がやはり全国各地で売り切れていて、注文待ちの状況が続いているらしい。ふーんって思ってみていたら、何となく思い立って地元の小さいゲーム屋行ってみた。よくわからないが売っていた。ビックリしたけど、あったものだから、途端に買いたくなって買ってしまった。まあ、衝動買いと言うやつだ。そのとき一緒に買ったのが「時の旅人online」だ。これはVRMMORPGと呼ばれる類のゲームらしい。onlineゲームはやったことないけど、まあ人の顔が見られるなら画面と向き合っている訳じゃないし、普通の現実世界と同じだからやってもいいかなと思って買うことにした。正直、オレは流行に乗るような人間じゃないから、発表から数ヶ月のものを試すという、流行に乗っている感じに驚いている。ゲームは友達の家でやることが普通だったからね。家にはとても古い型のゲームしかなかったからだ。まあそういうゲームもある意味重宝されたけど。


 とまあ、そうこうしているうちに授業が終わりました。え?もちろんちゃんと授業聞いてたよ。ずっと真剣スライド見てたし。内容は...まあ落ち着こうではないか。昼ご飯でも食べてね。と言うことで、友達と食堂へ行きます。食事はゆっくりと友達とだべりながら。でもたまに間があると、ゲームのことを考えていた。あ、友達にカラオケ誘われた。行こう。2時間歌って、そういえばゲームしてたら買い物忘れそうだからと思って、スーパー寄って買い物してやっと家に帰ってきた。


というわけで家に帰ったので始めますか。何気に結構楽しみだったりする。友達とカラオケ優占だけどね。もう午後4時近いけどね。そういえば友達にはゲーム買ったこと言ってないけど。そのうち言おう。


 ゲームのパッケージはもう開いている。買った日に開けた。コードやらコンセントやらをつなげる。準備万端。おれはこのなんというかヘッドホンっぽいものをつけて布団に寝っ転がった。寝ろって説明書に書いてあったからな。ふう、コントローラーの時代はもう終わったのか。ああ、オレが小学生の頃はまだ白黒だったのになあ(周りはカラフルな画面を見ていたが...)。じゃあ、スイッチオン。


 お〜。何か景色が変わる。あ、白いだけだ。何だろう。あ、ソフトの方の説明書見てなかった。おれ、ゲーム鈍いからみながらじゃないとわかんねえんだよなあ。機械がウーンって言った。景色がさらに変わる。


 「ようこそ。メニューを選んで下さい」

機械っぽい声が話しかけてきた。多分頭の中で。メニューって1個しかソフト買ってないから選択肢ないんだけどね。「時の旅人online」を選ぶ。now loadingだって。now loadingだって。now loadingだって。うん、時間かかるな。回線込んでいるのかな。


 うお〜。


 いきなり画面が変わる。うーん、景色?何か文字がたくさん出てくる。

「名前を選んで下さい。」

あ、名前考えてなかった。いつも迷うんだよね。やっぱりここは無難にロレンツォとか。うん、そんなにチャラくなれなかった。イヴァンとかどうですか。あ、ちょっと顔怖そう。音楽家っぽい感じでヨーゼフとか。ジャガイモとかビールとかソーセージとか、ゲームに出てくんのかな。シャルル?最近あそこらへん治安悪いからな。リーとか。同じ名前の人たくさんいそう。ユホとか。いい人そうだけど、多分無口。キムとか。キムチ食べたい。うん、日本人っぽい名前にします。じゃあ、「ちょーじろー」で...。冗談だよ。もうちょっと考えます。ありゃ、OK押しちゃったみたい。まだ今なら変更できるけどもういいや。おーけー。

「男性ですか。女性ですか。」

実は女です。ウソ、男です。

何かその後、顔とか色んなとこ触れって言われた。身長も体重も入力した。やっぱ、ゲームの中でも生身の人間みたいに動くからいるのかもね、この情報。ブーンって光が動く。


 画面が切り替わっておれっぽい感じの人が鏡に映っていた。ちょっとちがうけど。おおすげー。不具合はないですか?的なことを聞かれて動いてみた。もうオレの本体は動かないらしい。よくわからんな。まあ、布団の上で踊ってたら怖いけど。別になかったからないよって選択しておいた。

「部族を選んで下さい。」

何かたくさんある。おー、猫耳ある。オレ犬がいいな。戌年だし。じゃあ犬で。

「ジョブを選んで下さい。」

これまた何かたくさんある。武芸十八般的なの全部網羅したいなあって思ってたら後で替えられるよって書いてあった。ただし最初のジョブはファーストジョブ補正みたいなのが入るらしい。じゃあ、最初は棒術で。つまり、棒使いね。剣とか拳とか物騒なのは嫌いよ〜。

「服装を選んで下さい」

おお、服装選べんのね。すげーな、最近のゲームは。中世風の服がいっぱい出てくる。とりあえず、和なテイストの旅装束を選ぶ。ジャパニーズハット(笠)をかぶった縞縞の犬耳の男が鏡に映る。いいね。

「これで設定は終了です。変更はありませんか?」

ない。というかどう変えたらいいのかも分からん。「いいえ」を選択する。

しゅるるんって音がして画面が切り替わる。

「では、冒険へ旅立ちましょう。」

はーい。


 気づいたら畑のど真ん中にいた。一応道っぽいところだけど。すげー広っ!!ここにずっといたら目よくなるかな?あ、でもここ現実じゃねえわ。くそっ。なんというか北の大地っぽいところですね。

 遠くから声がする。

 「おーい!」

てくてくと村人が歩いてくる。第一村人はにこりと笑う。

「やあ、君は冒険者だよね」

村人っぽい人が話しかけてきた。

「あ、こんにちは...たぶんそういうものです」

村人はうんうん頷く。

「そうかそうか。メニューの開き方は分かるかね?」

おおー。いきなり何か凄いこと聞かれた。

「手を胸の高さに上げてスライドさせれば開くから。」

と手振りをつけて説明してくれる。ほうほう。やってみたら出来た。

 その後も道具の装備の仕方や魔物が現れた時の対処法、この世界の理的なものまで丁寧に教えてくれた。親切な村人だ。なんでもこの世界では、[スキル]というものがものをいうらしい。ちなみに初期設定で持っていた[スキル]は棒術Iだ。[隠れスキル]みたいなのがあるから頑張ってねと言われた。

 「うん、これで全部かな。」

そのとき、ガサガサと、畑をかき分ける音がした。これ、コーン畑だから結構背が高いんだよね。なんて考えているうちに、草の隙間から何かいわゆるゴブリン的なものが現れた。村人のおじさんがヒッと声を上げる。そして震える声でありながら、驚く程的確にスキルの使用と敵の注意点を教えてきた。言われた通りやっていたら、すぐに倒せた。魔物は炎っぽい赤い光とともに燃え尽きるように消えた。

「あ〜、怖かった。」

本当かよ。

「ありがとう。君のおかげで助かった。お礼と言ってはなんだが、君に回復薬Eをあげよう。あと君お金はあるかい?」

あるって言ったらどうなるか知りたかった気がするが、ないので正直にないと言うと、

「うん、正直は美徳だよ」

と言われた。何で人の懐事情知ってんだよ。まあ、ゲームだからいいけど。とにかく村人のおじさんはお金を100ギルくれた。

「それで宿には一晩泊まれるから。ところで、魔物を倒すとアイテムをドロップするんだけど、その魔物、アイテムはドロップしたかい?」

アイテムボックスを調べると、何か魔物の牙というものが入っていた。あの魔物牙なんてあったんだ。

「おお、良かったね。うん、あれだけ戦えれば言うことはないね。街へ行くと良いよ。ここには泊まる場所はないからね。あそこの丘の向こうに街があるからとりあえずそこに行くといいよ。」

と、おじさんが指を指して教えてくれた。そして、うんうんとうなずくと手を上げる。

「じゃあね。頑張りたまえよ」

おじさんはそう言うと後ろを向いて立ち去ろうとする。そこでオレは重要なことに気がつく。

「すいません。1つ聞きたいことがあるんですけど」

おじさんが振り向く。

「なにかな?」

「セーブとログアウトってどうやればいいんですか?」

「なにそれ?」

「は?」

「わたしはその『セーブ』と『ログアウト』っていうの知らないな。う〜ん、"村長さん"がプログラムし忘れたのかな?」

「んん...?」

一瞬で頭が混乱した。どうなっているのかがよく分からないが、悪い予感がする。でもとりあえず聞いてみる。

「その"村長さん"にあうことはできますか?」

「え、ああ無理無理。今"村長さん"はこの村いないから。何か数ヶ月前から帰って来ないんだよねえ。まあ、私にもよく分からないから、街に行って情報を集めるといいよ」

何かよく分からないが、暗雲のようなものが行く先に待ち受けている気がした。村人のおじさんが去って行く中、改めて辺りを見回す。家はいくつかあるが、人が他に見当たらない。何か人の気配がしない。とりあえず村を出ることにする。走って丘を登ると、20分くらいでてっぺんに着く。てっぺんからの景色はまあまあ綺麗だった。後ろを振り返ってみると...、あれ? 


 村がなくなっていたさっき村から見た時は丘のてっぺんが見えたのに、こちらから見えないのはおかしい。まあ、そういう設定になっているのだろう。無理矢理自分を納得させる。何かとても不安だ。代わりに前方には街は見えるから希望はある。前を向くと、そのまま坂を駆け下って街に向かった。


おお、街だ。近づいて実感する。街を囲むように城壁がある。中世の外国の都市みたいだ。でも中世の都市国家とかはトイレで出したものを窓から捨てるから不潔で汚かったらしいけど。それでハイヒールが生まれたとか言うけど、本当のところは知らん。外壁は綺麗だな。良く作ったな、こんなの、と思うが、良く考えたらゲームだ。それでもこの精密さは凄い。あ、早く街入ろう。


 街に入ると、人がたくさんいたが、何だかみんな慌てていた。よく分からないが、良くないことは確かだ。一人を捕まえて尋ねてみた。

「どうしたんですか?」

「どうしたんですか?だって?お前の頭がどうしたんですか?だよ。ログアウトできないんだぜ?わかってんのか?」

「ログアウトできない...?」

「そうだ、あの広間にお前もいたんだろ?何聞いていたんだよ!」

「え、広間?」

「ひ、広場だ。噛んだだけだ。ってお前あのときどこにいたんだ?ログアウト不能。1万人がこのゲームの中に閉じ込められたんだよ」


 おれの悪い予想は的中していました。


 というわけで、ゲームから出られなくなりました。











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