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がんばって育てた小説が…

_人人 人人_

> 突然の死 <

 ̄Y^Y^Y^Y ̄

死因: [作者自身の心の準備不足]

規模:781.25KBite

無料育成ゲーム【生きろ!小説家になろう】

#なろう #永遠のエターナル #大作未完なんて二度とごめんだ


 強くてコンティニュー?

___________

│ イア イエス    │

│   ノー     │

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



―――――――――――――――以下作者用トレイラー―――――――――――――――――


 眩しい太陽。

 狭い視界。

 遠くには特大の防御壁が山のようにそびえていて、目を降ろせば大きなポールに、ぱたぱたと汚れた旗が風にたなびいている。

 ここは駅舎の前。イントゥリゲートと呼ばれる広大な荒れ地のど真ん中に作られた中規模の街のその中心地にある、この街唯一の地下鉄用の駅ターミナルだ。

 歴史ある海軍の仕官であるオーシカ・ソノイ少尉は、この見慣れぬ赤い街に着いて目を丸くした。

 何もない。

 初めての戦地で、ここが戦場に一番近い街だったとしても本当に寂れている。

 遠くでは軍用の工場が何かを組み立ててカツーン、ゴツーンと音を鳴らしており、オーシカ少尉はぐるりとこの殺風景な駅前を見回して眉をひそめた。

「迎えがいないわ」

 誰ともなしに独り言を言い、ふうとため息をついて休めの姿勢のまま背中を曲げる。


「ホントーに、誰もいないのね。いやんなっちゃうわ、これが空軍式のお迎えなの?」

 肩に担いだダッフルバッグをすとんと地面に落とし、その落とした衝撃で地面の埃が軽く舞ってソノイの靴に灰色の影を落とした。

 ゴーストソノイはムッとした。本当に誰もいないのだ。


 誰もいない駅前を、赤い砂埃と共に小さな風がふく。

 すると町並の中の十字路奥から、一台のジープがやってきた。

「ミス・ソノイ少尉ですか」

 幌無しの無骨な軍用車両に乗って、装甲服でガチガチに身を守った見慣れぬ兵士が顔を覗かせてくる。

ゴーストソノイはその異様な格好の男に身じろいで、一瞬だけ身を引いた。

「そうだけど」

「お迎えが遅くなりました、マム。どうぞお乗りください」

 そう言って白い装甲服の兵士は乱暴にドアを開けて、ハンドルを握ったまままた前を向く。

 荷物を持とうともしないこの無礼な迎えにソノイはムッとしたが、その顔も見えない無口な兵士に違和感を覚えて静かに指示に従った。

 荷物のダッフルバッグを前に抱えて席に乗り込むと、ジープはドアが開いたままでもすぐに発進する。

 ドアが、勢いで乱暴にしまった。

「ねえちょっと!」

「何か質問ですか、マム」

 乱暴に運転を続けられるジープの上で、オーシカは自分の荷物を振り落とされないよう必死に坐席前の取っ手に捕まって身をかがめる。

 助手席に座るソノイの右隣、運転席に座る兵士は前方を向きながらそっけなく答えた。

 覆面をするように、フルフェイスの白いマスクを顔面に当てて、首下からはわずかにシュコー、シュコーと呼吸する音が聞こえる。

 ソノイはぞっとした。この、半分機械の体のようになった兵士がこれから自分が寝起きする場所の人間だとは思えなかったからだ。


 ジープはそのままがたごとと街のアスファルト路を走って行き、ソノイは街の様子をガラス越しにみていった。

 街にはいちおうレベルの人影があった。かなりさびれてはいるが、どうやら無人ではないらしい。


『私たちのイントゥリゲートへようこそ!』


「ちょ、ちょっと運転手!」

「何か質問ですか」

「少しくらい何か話なさいよ! 例えばっ、ここはどこなのかとか、最近何があったのかとか」

「いちいち私が説明しないといけないですか、マム」

 耐弾装甲服を着込んで顔も見えない無口な兵士はハンドルを握りながら、指を黒いスーツごとみちっと音を鳴らして握り直した。

「お気遣いなく、マム。この町は安全です」

「むっ、そういう質問じゃない!」

 コホー、スーと兵士の繰り返す呼吸の音が、装甲服越しに聞こえる。

 ガタリとジープが小石を挟んで上下に揺れた。

「私の名前はユウヤです。ナカシマ式クローンの初期型、軍歴は3年、当基地歴も3年です」

「むっ」

「あと私の階級も少尉です、マム」

 クローンを名乗る装甲服の兵士はまっすぐ前を向きながら、ハンドルを動かした。


 次第に町並が変わっていきジープは軍の基地正門に到着した。

 相変わらず町の様子は殺風景だが、正門にいる人の数は町並にいた人たちよりもだんぜん数が多かった。

 ただし、いるのは皆白い服を着ていた。

「身分証明書を見せてください」

 白いマスクに、ユウヤと名乗ったクローンの兵士とまったく同じ服装の兵士が銃を持ってジープを覗いてくる。

 ソノイをこの基地まで連れてきた兵士は肩の肩章を見せると、歩哨の兵士はコードリーダーを手に持ってピッと鳴らす。


 ゴーストソノイは振り返って、この基地が尋常でない雰囲気である理由を知った。

 正門前で戦車を洗っているも兵士も、今肩章から読み取ったデータを読んでいる歩哨も、片足を失って杖をついている兵士も、みんな同じ服装をしていた。

 ソノイはゾッとして車の中で身をすくませる。

「お帰りなさい、少尉」

「……えっ?」

「今日からここが貴女の家です。そこで提案なのですが」


 ナカシマユウヤ少尉が身分証を歩哨から受け取りながら、黒いスコープ付きのマスクでソノイを振り返った。

「私たちの基地とその周辺を知ってもらうために、少し軽めのオリエンテーションをしたいと思います。A案とB案とC案、どれがいいですか?」

 無機質なマスク越しにユウヤは言うと、黒いグローブと装甲服の籠手ごしにソノイを指さした。

 不気味な無表情にさえ見える白い装甲と兵士の顔を向けられ、ソノイは荷物を抱きしめてジープの席に背を押しつけた。

「えっえっ、おっオリエンテーション?」

 ゴーストソノイは背中の筋に、つーと冷たい汗が流れたような気がしてぶるっと身を震わせる。

「そうオリエンテーション」

「は、配属先の責任者に挨拶に行かないと」

「これは大隊長からの命令です、マム」

 装甲服の兵士は不気味な覆面を外さずに、黒い目を揺らしながらソノイに語りかけた。

「この基地に初めて来るソノイ少尉を歓迎しろと。我々クローンは、貴女を歓迎します」

 野太く低い不気味な声で、兵士は顔を傾けながら笑うこともなくソノイを見つめる。

 たらっと、冷たい汗が背中から腰のベルトに浸透して、そのまま新しい汗がどっどっどと噴き出てくる。

 ソノイは後悔した。やっぱり、こんな戦争頼まれても来るんじゃなかったと。




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