天使の育て方
「うちの子は笑わないなぁ、おい、もっと話しかけてやらないと」
旦那が無責任なことを言いだした。新生児が笑うはずないじゃない。
話しかけてるわよ。うまくもない子守歌を歌ったりしてさ。反応なんか望まずに。3時間おきに夜泣きするのに合わせて母乳あげて、一気に増えた洗濯物を片付けて、ホコリが散らないように茶殻とほうきで掃除して。
「ふぎゃあ、ふぎゃあ…」
また泣きだした。あぁ、ほら、頼むからいいかげん泣きやんで。
「お、すぐ泣きやんだな」
本当。それに、なんか私をジッと見てる。こんなにちゃんと私の目を見たことあった?
「…きゃ、きゃきゃ」
笑った。初めて。ずっと寝てるか泣いてるかだったのに。これからいろんな表情を見せてくれるようになるのかしら。
「…ただの子猿がこれから、愛らしい天使になったり、小憎らしい悪魔になったりするんだな」
そうね。慌ただしく、狂おしく、悩ましく、いとおしい日々を、この天使(悪魔?)と一緒に。