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図書塔の賢者さま  作者: 空色レンズ
第四章『召喚魔法と世界の理』
54/104

(53) ~ シャーリーンの相談室【後編】

い、言うこところころ変わってスミマセン……(滝汗

キリのいいところまで書けた感じなので、また二回更新みたいになりそうです……うわあ自分のペースが自分でわからないorz

 あこがれの召喚魔術師カミルに弟子入りできる実力を持ちつつ、現在最高の魔術師として名を広める学校長に指示することになった鬼才。魔術の名門に生まれ、召喚魔法の才能もあったが能力的には普通の魔術師と変わらなかったメルベロートにとって、ぽっと現れたように見えるオズはとてつもなく邪魔な存在にしか思えなかった。


「なんだろうね。彼の中で俺はさ、カミルさんへの弟子入り話を蹴って、後見人である校長の所に甘えて入り浸って、ろくに研究もしていない肩書きだけ野郎って感じになっているらしいよ?」

「はあ……そういって、絡んでくると」

「うん。けど俺、大部分聞き流しててさ。それもまたかんに障ったんだろうね」

「それは誰でも怒ると思いますわ」


 カップを揺らしながら断言するシャーリーンに、オズははっきりと苦笑を浮かべる。


「で、次に会ったのは植物実験場」

「……あんな場所へまで行くなんて、本当に普段何をなさっているんです?」

「いや、友達がそこで薬草取ってこいって依頼を受けたから、くっついてったんだよ。そしたらそこにそいつがいてさ、ほら、シャーリーンなら分かると思うけど、あそこって希少価値やったら高い薬草植えてるところに魔法植物も置いてるでしょ。あれに捕まってて気絶してたんだよね」

「うっかりにもほどがありますわね」

「で、採りたい薬草の真上にぶらーんってなってたから、邪魔くさいなあって思って助けてやったら、俺の顔見るなりギャーギャー騒ぎ出してもううるさかったのなんの。で、それから帰ってきてというもの……」


 そこまで話して、オズは唐突に口をつぐんだ。とても面倒くさそうな表情を浮かべると、てきぱきと広げられた資料をまとめて抱え、マグカップに残った紅茶を一気にあおる。


「ごめんシャーリーン、愚痴に付き合わせて悪かったね。俺、塔に戻るよ」


 テーブルに空のマグカップを置き、両手でしっかりと資料を支えると、オズは早足で談話室から姿を消した。シャーリーンは何度か瞬きをして、目の前に起きっぱなしにされたマグカップを見ていたが、とある瞬間それは幻のように姿を消してしまった。

 そして、マグカップが消えて数秒後、妙にいらつきが感じられる乱暴な足音が談話室に近づいてきた。


「オズはここか!?」


 そして、ゆっくり休んでいるものや、書物に目を通しているものたちなど気にも留めず、一人の青年がどかどかと入り込んできた。まとっている外套は、『貴石』であることを示す藍色をしている。


「ちい……確かにここにいると司書が言っていたのだがな。また逃げられたか!!」


 がり、と親指の爪を噛みながら悔しがっている青年を見て、シャーリーンは察した。


(彼がメルベロート=リフィルス……、確かに貴族らしからぬ、優雅さのかけらも見えない方ですわね)


 鮮やかな金髪と鳶色の瞳をした彼は顔立ちこそ整っているが、その髪はくしを通していないと分かるほどぼさぼさで、動作の一つ一つもずいぶんと乱暴である。以前オズに突っかかっていた、あのゼルティアの方がまだ貴族らしい振る舞いをしていた(いろんな意味で)。


「貴方、少し静かにしていただけます? ここは図書館ですわ。あまり騒ぎ立てて欲しくないのですけれど」

「なっ……」


 シャーリーンが静かに声をかけると、メルベロートは勢いよく振り返り口を開きかけたが、彼女の顔を見て盛大にひるむ。どうやら、貴族らしからぬ態度であっても、さすがにシャーリーンの顔は知っていたようだ。


「……気をつけよう、シャーリーン嬢。ここにいる者たちも、迷惑をかけてすまなかった」


 そこで多少頭が冷えたのか、彼は素直に謝罪をすると、来た時とは打って変わって実に静かな足取りで談話室を後にした。彼の姿が見えなくなり、足音も聞こえなくなってきたところで、シャーリーンはふうとため息をつく。


(本当に……厄介そうな人に妬まれましたわね)


 そうして、シャーリーンは物憂げに冷めた紅茶の入ったカップを傾けるのだった。

メルベロートは、一度なんらかの熱が入るととたんに荒っぽくなります。

普段はそうでもない(普通に貴族っぽい)のに、感情が高ぶるとそこらの平民よりもがぜん不良じみた感じになります。

彼は……ただの噛ませにするつもりはありません。それはゼルティアがやってくれたしね!

未だに比較として名前が出てくるのがすごいと思うよゼルティアくん。君、もう出番無いのに(待

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