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図書塔の賢者さま  作者: 空色レンズ
第四章『召喚魔法と世界の理』
48/104

(47) ~ 原石は磨かれて

お、お気に入り、200件突破……。

ありがとうございます!!!

……しかし、この間アンデットも200件突破したんだけど、なあ(笑

 オズは、片手に荷物を満載にした旅行用カバンを持つと、ずいぶんさっぱりとした印象になった部屋を振り返った。二つの二段ベッドに、四人分の勉強机。それなりに広さを持つ部屋には、クローゼットと簡素なテーブル、椅子のセットも置いてある。

 『原石』として四年間を過ごした寮部屋を、最後に出て行く。


「一年待たされたけど、ま、早いほうだったかな。やっと『貴石』行きかあ」


 諸事情あって、同じように三年間『原石』として学んだレイルたちが、すんなりと『貴石の館』へ移ったのに対し、オズはもう一年『原石』のままでいなくてはならなくなった。だが、それももうおしまい。

 寮の管理人に返さなければならない合い鍵を弄びながら、階段を下りていく。

 その途中で逆に階段を駆け上がる音が聞こえてきたので、踊り場で少し待つと、見慣れた顔が近づいてきた。


「あ、オズ!」

「アルフ」


 ティストンの息子、アルフは初めて出会った頃に比べて、ずいぶん凛々しい少年に成長していた。両親ともにのんびりとした気質であったのに対し、何事もてきぱきとした行動を取る。

 今は『原石』の三年目となっている彼は、荷物を持っているオズを見て笑顔を浮かべる。


「『貴石』に移れるんだね。おめでとう、オズ」

「ありがと。レイルたちとちょっとずれたけど、これでやっと面倒な授業に出なくていいようになるよ」

「オズ、『貴石』になっても、一応授業あるよ……?」


 うん、と伸びをするオズに、アルフは苦笑を向ける。すっかり大人の姿になったというのに、幼い頃にティストンに連れられて来た時とほとんど変わらないオズの性格に、アルフも逆に自分が大人であるかのような気分になっていた。


「んー、俺、ちょっと他の人と違うからさ」

「え? ……そういえば、オズは誰に師事するんだっけ。それを決めるために、一年『原石』に残されたんでしょ?」

「ああ、もうアルフにならバラしてもいいかな。俺さ、結局校長に師事することになったんだよね」

「……えぇええええ!?」


 オズの爆弾発言に、思わずアルフは絶叫する。現魔法学校長ファラッド=ヴィグメールは、十何年か前に数名の弟子を独り立ちさせてからというものの、彼らを通して次の世代に魔法を学ばせ、自身で弟子を取ることはなかったはずだ。優秀な魔術師を輩出する家系の者すら拒むというのだから、もう彼から直接教えを受ける者が現れるなど、誰も考えていなかったはずだ。


「なん、なんで、確かにオズはどこかずれてる勢いですごい才能があるけど!」

「ずれてる才能ってなにさ。いやね、実は俺、入学するときにいろいろあって、表向きはティストンさんに後見を頼んだ形になってるんだけど、実際はそこのところ校長が後見人になってくれてるんだよね」

「こ、校長が、後見人?」

「そ。俺がここで誰も文句が言えないぐらいの成績を残したら、正式に校長自身が後見人であることを明かすって言ってさ。で、最初は『貴石』に行くとなって……召喚魔法について研究してる人のところにしようかなって思って進路表提出したら、待ったかけられてね? 『いろいろと十分すぎるから、いっそもう自分の所に来い』って言われて、その準備に時間が少しほしいから、もう一年『原石』にいてくれって命令されて……今日やっと、メンドクサイ諸々から解放されますってワケ」


 もうちょっとしたら、教師陣にも俺の師事先とか後見人についてとかちゃんと伝わると思うけどなー、と言ったオズに、しばし呆然としていたアルフはハッと我に返った。


「え、て、ことは、オズは『貴石の館』、じゃなくて」

「うん、肩書きは一応『貴石』だけど、校長の書斎がある『石暦の塔』に移る感じだね」

「うっわあ……」


 それから言葉も無く、ぽかんと口を開けていたアルフだったが、それをオズは楽しそうにくすくすと笑って眺める。


「まあ、することといえば俺が興味をもった魔法について、いろいろいじってみたり、校長と話をしたり、そんな緩い感じだからさ、もし話したくなったら来るといいよ。校長も、俺の友達呼んでいいですかって聞いたらいいよって言ってくれたし」

「せ、『石暦の塔』に入っていいの!? うわあ、うわあ、父さんも入ったことほとんど無いって言ってたのに!」


 今度は興奮で目を輝かせるアルフ。オズは彼の頭をぐしゃぐしゃとかき回すと、階段を下り始めた。


「さーて、独り立ちするまで、何をしてやろうかな」


 そんなことを呟いて。

結局、校長のところへ行くことになりました。

レイルたちは順調に成績を収めて、かつちょうど師匠となる魔術師が増えたりしたので、一足先に『貴石の館』へ移りました。リードは古い時代の魔道書解読の勉強を続けています。このまま行くと、魔法学校の先生コースですかね?


ここにきてようやく、連載開始の頃の外見に追いついたオズでした。


追記:この先の展開で、ちょっと残酷かと思われる表現がちょいちょい出てくることになったので、R15指定をかけることとなりました。今後の展開、戦闘描写にだんだん遠慮が無くなってくるかと思います。ご了承ください。

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