(43) ~ 決勝戦【中編】
ガーティを下したドルグが周囲を見回すと、残っていた前衛二人はメダルを胸から外されており、離れた場所に座り込んでいた。そして、ソロルたち四人の剣士が、緊張した面持ちで彼を取り囲む。
「ここまで来ても、剣を抜かないなんてね。やっぱり君は頑固者だよ」
「ソロル、だったか。君は確か、弓が得意なんじゃなかったか」
「剣だって、それなりに得意だよ」
ちゃき、と音を立てて剣を構えると、ソロルたちは一斉にドルグに飛びかかった。その様に、思わず魔法合戦を続けていたオズたちも目を向ける。
そこで。
「……多勢に無勢、とは」
ドルグの右手が、剣の柄にかけられた。
「よく言うものだ」
そして、まさに目にも止まらぬ速度で振り抜かれたそれは、二人の剣士をはじき飛ばした。そのまま反転し、仲間がやられながらも厳しい表情を変えないまま剣を振り下ろしてくるソロルの胴を薙ぐ。あまりの衝撃に咳き込み、足を止めてしまったソロルは足を払われ、その場にひっくり返る。頭を打ってうめき、金属音が数度響いたところで慌てて起き上がろうとすると、首元に剣を突きつけられていた。
「……はあ、降参、かあ」
無言のままに求められ、ソロルは苦笑を浮かべて胸元のメダルを外す。
前衛が全員、一瞬で倒されてしまったのを見たジーノたちは、そっと自分のメダルに手を伸ばす。あんな速度で迫られれば、誰もまともに魔法で応戦できるはずがない。最初にメダルを外したのは、フィナだった。
「あんな人、魔法も絶対当たりませんよう……すっごく早いですもん」
「レイルのときも、あれ、なんか使って結界壊したりしてたもんな。あー、ここでおしまいってか」
最後にメダルを外したジーノだったが、試合終了の鐘が鳴らないことに気付き、もしやと思ってオズの方を振り返る。
オズは一人、メダルに手を伸ばすどころか、面白そうに笑っていた。
「すっごい、あの人、一撃が他のヤツと全然違う……すっご」
「お、おい、オズ、お前、降参しないなんて言わないよな?」
「え、なんで? って、あ、みんなメダル外してるし! もう諦めるのー? 全く」
オズは自分以外全員がメダルを外していることに気付くと、腕組みをして睨んできた。が、すぐにまたドルグの方へ視線を向けると、ジーノたちに軽く手を振って追い払おうとする。
「じゃ、ほら離れてて。あとは俺一人でやるから」
「一人でやるってどういうこと!?」
ジーノたちは降参しておけ、とオズを説得しようとしたが、彼は頑として首を縦に振らなかった。
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