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図書塔の賢者さま  作者: 空色レンズ
第三章『いざ合同演習』
43/104

(42) ~ 決勝戦【前編】

 対戦領域に並ぶ二十名は、壇上に立つマインダーを静かに見上げていた。


「……俺もまさかと思ったが、訓練場きっての秀才のドルグ=レゼルマンに、魔法学校創立以来の天才とかいうオズの所属するグループが残るとはなあ。これはなかなか、面白いことになりそうだ」


 にやにやとした笑みを隠そうともしないマインダーは、さらに両手を挙げて続ける。


「さらには、どっちもまだまだ本気じゃねえんじゃ? なんて言われてる。こりゃ一緒の奴らも気の毒になるな。ま、これが最後だ。手は抜くな。やりきれ」


 徐々に高く上げられる両手に合わせて、二つのグループはそれぞれの配置へ駆け足で移動し、体勢を整える。


「それじゃ、決勝だ……始めえっ!!」


 合図とともに、オズ側の前衛五人が一斉に駆け出した。ソロルも今回は、弓では無く剣を装備して参加している。

 一方、ドルグの側からはやはりドルグ以外の四人が駆け出し、すぐに前衛同士でぶつかり合うことになった。


「ガーティでも、今のドルグには剣を抜けさせられないって言ってたけど、ホントらしいなあ」


 前の試合で見せたように、腕組みをしたまま中間地点で立っているドルグを見て、オズは肩をすくめるとジーノたちに指示を出す。


「援護するよ、攻撃担当は盾役の方に行って後方を叩いて。ドルグは気にしなくて良い。残り二人は俺と一緒に前衛の援護!」

「「「了解!」」」


 オズは旗の周囲を結界で囲むと、ジーノたちと一緒に駆け出す。前衛近くまで上がってきたオズたちを見て、ドルグの眉がぴくりと動いた。


穿うがて、氷の矢よ!」

「疾風の刃、敵を刻まん!」


 攻撃担当の二人が放った魔法は、ドルグの頭上を飛び越えて後衛に届き、結界に阻まれた。応じるように攻撃魔法が飛んでくるが、すかさずオズとフィナの結界がそれを防ぐ。打ち合いのなかで肩で息をし始めた盾役には、ジーノが筋力増強の魔法をかけた。


「……ふむ」


 前衛たちが疲れてきているのが目に見えて分かり始めたとき、小さく呟いてドルグが動いた。

 一人が足を剣で打たれて転がったところに、潜り込む。


「へ?」


 敵兵を一人倒して喜びかけていたその剣士は、目の前に現れたドルグに思わずきょとんとして、その隙に横腹を殴られて横転する。うう、とうめいたかと思うと、動かなくなった。


(ドルグが動いた!?)


 一拍遅れてそのことに気付いたガーティは、さらに剣を振るう速度を速めて、目の前の敵兵を吹っ飛ばす。残り二人の前衛をソロルたちに任せて、ドルグの方へ一人向かっていった。


「ガーティか、去年の試験以来だな」

「そーだ、なっ!!」


 彼が名前を覚えていたことに少し驚きつつ、勢いを殺さないまま斬りかかったガーティの全力での攻撃は、しかしあっさりとドルグに受け流されてしまう。


「君も、力は十分にある。だが、もう少し策を練る、ということを覚えるべきだ」

「っくおお!!」


 一歩踏み出し、受け流された剣筋をすぐさま反転させて、下から斬りかかるガーティに、ドルグは。


「そうすれば、もっと、強くなる」


 刃の鍔近くを籠手で受け止め、ガーティののど元に手刀をたたき込んだ。ガーティはむせると、ばたりと倒れ込んだ。

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