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図書塔の賢者さま  作者: 空色レンズ
第三章『いざ合同演習』
36/104

(35) ~ 勝ち残った者

 作戦を立てた翌日の試合は、事前に様々な作戦とそれに対応する動きの練習を重ねた上、ソロルとともに背後から指示を飛ばすオズの伝達魔法の力であっさりと相手グループに勝利することが出来た。

 他のグループはというと、派手な炎の魔法で相手を蹴散らすゼルティアと、そんな隙だらけの彼や他のメンバーのサポートに回っているレイルのグループが勝ち進んでいた。そしてもう一つ、あのシャーリーンを中心にして貴族派の固まっているグループもまた、力の差を見せつけて鮮やかな勝利を得ていた。

 その日の試合が終わり、残ったグループを見れば……オズたち、レイルとゼルティアたち、シャーリーンたち、最後に妙に厳つい剣士たちが集まっている四つになっていた。


「よーし、今日も試合はここまでだ、明日が最後、準決勝と決勝があるぞ。ま、勝ち進んだからといってなんだというもんでもねえが、一応優勝グループにはそれなりの褒賞も考えている。気張っていけよ!」


 マインダーがトーナメント表の前に立ち、居並ぶグループのメンバーたちを眺めて、とんとんと表を叩く。


「で、明日の準決勝だが……先にやるのは銅鎖の白、銀鎖の黒だな。次に金鎖の青、銀鎖の赤という順番だ。そっから少し休憩を入れて、決勝とする。いいかお前ら、今日の訓練でケガするなんてアホなマネすんなよ?」


 そう締めくくって笑ったマインダーは、解散、と告げるとさっさと広場を出て行った。オズたちも訓練部屋へ向かおうとしたところで、オズに近づいてきた別グループのメンバーに「ん?」と首をかしげる。


「レイル、どうしたのさ」

「の、残っちゃった。準決勝まで残っちゃったよ、オズくん!!」


 レイルはばたばたと手を振りながら、青くなったり白くなったりと忙しい。オズは苦笑を浮かべて、彼の肩を軽く叩いた。


「まったく、ここまで来たら腹をくくればいいのに。次の相手も勝ち進んできたグループだから、大変かもしれないけど……」

「レイル!! お前、何オズとのんきに話なんぞしているんだ!! さっさと来い!!」

「はい!?」


 オズの言葉に頷こうとしたレイルだったが、背後で苛立ちマックスといった様子のゼルティアに怒鳴られ、びくりと肩をすくめる。


「あ、そ、そっか。一応まだ競争相手だもんね、じゃ、じゃあまた明日、ね!」

「リラックスねー」


 軽く手を振り合ってレイルと別れ、オズが頭をかいていると、ずしりと肩におもみが加わった。

 オズの肩に右腕を乗せているガーティが、後ろ姿のレイルを指さしながら問いかける。


「あいつ、お前のダチか?」

「ええ、入学試験の時に知り合って、それ以来一緒にいるんです。俺が問題児とか言われてた頃にも側にいてくれて、助かりました」

「ふーん、親友枠ってところか。俺らとあいつじゃお前の表情が全然ちげぇ」

「……そんなに?」


 両手で顔を触って唸っているオズを見て、ガーティは吹き出すと勢いよくその背を叩いた。


「お前みたいなのにも、気を許してるダチがいるとはな! ま、次に当たるとしても、手加減なんかしねーけど」

「っとと……それは、そうですよ」


 多少ふらついたオズだったが、すぐに体勢を立て直すとガーティに笑みを返す。

 そのまま広場を出ようとしたが、どこからか視線を感じたので軽く振り返ると、オズをじっと見つめるシャーリーンと目が合った。が、彼女は目が合うやいなやそっぽを向き、さっさとグループメンバーを引き連れて行ってしまう。

 入学試験以来、クラスも違えば階級も違うため、交流することは無かったが……。


「……明日の試合、何を見せてくれるかな?」


 『原石』三年目の次席の力、それをようやく間近で見られると、オズは密かに心躍らせていた。

主席は当然オズです。

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