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図書塔の賢者さま  作者: 空色レンズ
第三章『いざ合同演習』
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(21) ~ 三年目の原石たち

 オズたちはそれから順調に魔法を学んでいき、大きな事件も起きないまま三年目を迎えていた。リードは去年『貴石』となることができたし、ティストンの息子アルフも入学してきた。そして、一年目のときに問題を起こしてきた子息ゼルティア=ノーステラは、その後も取り巻きを引き連れて何度か衝突してきたが、すべてオズに処理されて処理されて……最近ようやっと『向上心』という言葉を覚えたらしい。

 三年目ともなると、それぞれの魔法の素質が見えてくる。バルドはやはり攻撃魔法の適正がぴかいちだったが、その中でも火と風の魔法が得意なことが分かった。レイルは魔法の使用自体は並の腕だが、魔法具を作る器用さと魔法陣の正確さが評価された。ミリアは治癒魔法と水の魔法との相性がよく、最近では初級魔法であれば無詠唱で行使することが出来るほどになっていた。

 そしてオズはというと。


「……どれも基準、クリアしているんだもんなあ」

「……オズ、お前一体なにになるんだよ。もう何でもありじゃねえか」


 彼の成績表を見たレイルとバルドは、それぞれ苦笑いとしかめ面をして、のんびりと茶を飲んでいるオズに言った。


「んー、何でもありとはいうけどね。俺、やっぱり魔法具とかはあんまり好きじゃないかなー。普通に使ってる方が楽しいし。そうだな、人口少ない召喚魔法学のコース行くかな」

「えっ、オズくん召喚魔法の適正もあるですか!? いいなあ、いいなあ!」


 自身の成績表に書かれた、治癒魔法学と専門魔法・水属性の項目で唸っていたミリアは、瞳をきらめかせてオズに詰め寄る。

 召喚魔法は魔術師のなかでも、とりわけ適正を持つ者が少ないとされている。理由としては、自分たちが暮らしている世界と少しずれている『異界』の存在との交信を行うために、特定の魔力の性質が必要とされるというものがある。

 ……オズからしてみれば、自身の持っている魔力を呼びたい存在がいる異界に合わせた形にすればいい、というだけなのだが、そもそもこの世界の魔法に関する技術では、自身の魔力の形を変えるといった芸当など出来るわけが無いのだ。魔力の形は人それぞれ、生まれ持ったものでしかないという固定概念が、召喚魔法へ至る門を狭いものにしていた。


「あ、そういえばみんなは、このまま『貴石』になったらどういうお仕事しようって考えてるですか? 私、パパのお店をお手伝いしようかなって考えてるです!」


 学校内の進路からさらに先、将来のことを問われた面々は、それぞれの答えを返す。


「俺はこうなったら、軍属目指すぞ。魔法の研究も面白ぇかもしんねーけど、オズの言うように使った方がいいしな。いざとなれば、俺もこの国を守る一人になってやるさ!」

「んー、僕は、魔法具作成の部署に勤めたいなあ。確か、コルコトアに研究所があるんだよね」

「俺はそのときある仕事でいっかなあ」

「……なんとなく、オズくんはそう言うような気がしたよ」

「あ、そうだ、コルコトアだよコルコトア!」


 オズの返答に苦笑を浮かべるレイルの隣で、これ以上無いほどの笑みを浮かべたバルドが机を叩いた。

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