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With You.  作者: 聖涙
第六章 水仙の花咲く季節
48/50

春一番は

京都旅行2日目の朝は早かった。


「ゆーとーりー!!!起きてよー!」

朝5時。いつもならまだ寝ているような時間に澪は遊を起こした。といっても遊の寝起きは悪く頭は全く働いていないようだが...。

そんな遊をひっぱってまだ寝ぼけている遊を着替えさせ椅子に座らせた。


「よし、あとは澪さまにお任せなさい!」

そうしてバックから次々とムースやスプレー、アイロンにコテを取り出すと遊の髪をいじり始めた。




「遊、そろそろ行かないとだよ?」

準備万端で部屋の入口に立っている澪と裏腹に遊はちょっと待ってー、とバックに財布やポーチを詰め込んでいた。

あれから澪のヘアアレンジが終わってもうとうとしたままだった遊は待ち合わせ5分前の今頃になって焦っているというありさまだった。

「おまたせ!」

「急ぐよ」

2人は勢い良く部屋を飛び出した。



「遅いな、悠」

「ん、まぁ遊だから仕方ないだろ。」

興味ないと言ったように携帯を見ながら悠が返した。憬都には遊だから仕方ないの意味はいまいちわかっていないようだがお構いなしだ。

「お待たせしました!」

「ごめん、悠に言われた通り早めに起こして声かけたんだけど...」

「相変わらずの寝起きだった、ってだけだろ。」

澪にそんなことを頼んでいた、と知った遊は少しだけ拗ねながらも兄の采配に心の中で拍手を送る。澪にあの時間に起こしてもらえなかったら確実に今ごろ部屋でドタバタしていただろう。

「おはよ、お2人さん。その服似合ってるな。」

さらりと言う憬都にちょっとドキドキしながらも遊は嬉しそうに笑った。

「澪が髪、やってくれたの。」

遊と澪は白と黒の色違いのトップスに遊はピンクのレースのスカートに黒の柄タイツ、のコート。澪はふわふわのショートパンツにニーハイ。どちらもとても似合っている。


「よし、まずは二条城から行きますか!!!」


二条城、西本願寺、清水寺など午前中に計画していたものを全て廻り終えたときにはすでに12時をまわっていた。そのまま、予定していた和食店にお昼ご飯のために4人は座っていた。

「お昼のあとここの通りでお土産見てもいい?」

注文した料理を待つ間、澪がガイドマップを机に広げて言った。

「あたしも買い物したい!」

遊もノリノリだ。悠と憬都は苦笑しながらも自分たちもお土産を買っていかなくては行けないところがあることと遊と澪が楽しそうに話しているのを聞いて肯定した。

「お待たせいたしました。」



繊細な料理の数々に舌鼓をうったのち...

「こっちのお店、京扇子あるよ!」

「ホント!?」

女の子2人の買い物は予想以上だった。すでに2人とも手にいっぱいの袋を持っている上に悠と憬都まで荷物を持っていた。最初は自分で持つと言っていた2人だが見かねた2人が取り上げたのだった。

「ったく...。」

買い物をする2人を眺めつつ苦笑いをした。呆れはするもののあんなに楽しそうな顔をされては文句も言えない。


「楽しそうでよかった。」


憬都が無意識に呟いた言葉に悠はそっと温かい目をしたのだった。




「あれ?」

それから、あらかたの買い物を終え1度荷物をコインロッカーに預け、今度はゆっくりと京都の街並みを散歩していたのだがいつの間にか悠と澪とはぐれ、遊と憬都は2人になっていた。

「はぐれたか...?」

「うん、でもはぐれたらコインロッカーに3:00って約束だし大丈夫じゃないかな?」

と、遊はそのまま歩き出そうとした。

「なぁ、遊。もう、大丈夫なのか?」



そういえばまだ憬都に話していなかったことを思い出し、遊はちかくの公園のブランコに座りそのあとちゃんと滋乃と和解したことを話した。

「いろいろ悩んだし許せないこともなくはないけどね、それでもやっぱりママはママだから...」

そう言って優しく笑った。

「そっか、よかった。」

そう言って憬都はブランコから立ち上がると遊の前に来た。


「そういう遊が俺は好きだからさ。」


優しい笑顔で言った。

それに遊も笑顔で返した...が

「え...?」

数秒遅れて気づいたのか顔を真っ赤にした。

「飲み物買ってくるからちゃんと返事考えとけよ?」


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