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With You.  作者: 聖涙
閑話~文化祭の裏側~
32/50

物語に~文化祭の裏側~

啓良のクラスの劇です。

読まなくても次の話に問題はありません。

ーこれは中世ヨーロッパと似たような今とは違う生活環境のお話です。




月の光のような金髪に夜空のような瞳をもつそれはそれは美しい女の子がいました。早くに母をなくしながらも父と2人、幸せに暮らしていた彼女が14歳になった年、彼女に新しい母と2人の姉ができました。


「シンデレラ!お掃除は終わったの?」

「はい、思ったより早く終わりましたので書庫の整理もしておきました。」

上の姉の言葉にシンデレラはさらりと返しました。

「シンデレラー、おやつの用意は?」

「こちらに用意してあります。」

下の姉の言葉にテーブルの上に綺麗に盛られて置いてあるケーキとティーセットをさして言いました。

「シンデレラ?この間頼んだ新しいドレスの手直しは?」

「こちらです。」

継母の言葉にドレスを差し出し答えました。


シンデレラの姿は淡々とそして瞳に憂いや苦しみは一切ありませんでした。


そう、シンデレラはとても強かで優秀、そして淡白な子だったのでした。




そんなある日、シンデレラの家には王国からの招待状が届きました。それは年頃の娘たちにあてられた王子の婚約者を探すパーティーへの招待状です。


「やったわ!わたくしが未来の王妃よ!」

「やだ、お姉さま。それはわたしですわー」

2人姉は大はしゃぎでドレスを選び始めました。

「2人とも落ち着きなさい?...でシンデレラ、」

「もちろん、お留守番させていただきます。」

顔には出さなかったがシンデレラは内心嬉々としていました。なにせ、パーティーに行ってくれればシンデレラはゆっくりと休めるのですから。


そして、シンデレラは自分の休みのために姉のドレス選びから馬車の手配まで完璧にやってのけたのでした。




「いってらっしゃいませ、お母様、お姉様方。」

馬車が見えなくなるまで悲しそう(な演技)に見送るとその表情はぱっと変わり口元をあげた。

「ふふふ...これで当分あいつらは帰ってこないわね。じゃあ...」

「ちょっと待った!!!」

シンデレラが部屋に(寝るために)戻るのを引き止めたのは1人の男でした。


「なによ、なにか御用ですか?申し訳ありませんが今、母たちはいないんで...。」

「いやいや!!!あのさー、オレと一緒に今より楽な生活目指さない???」

シンデレラは口を開いたままその男を怪しげな目で見た。




「へー、そう。つまり貴方が魔法使いであたしを王子の婚約者にする手伝いをすると...」

「そーそー、それで婚約者になった暁にはオレを王宮魔法使いに推薦してほしいんだよねー」

なんだかんだでリビングでお茶を飲みつつそんな話をした。


「なら、自分でどうにかすればいいじゃない。あたしのこと婚約者にする意味ってあるの?」

最もなことをシンデレラが問いた。

「オレ、実力はあるけど後ろ盾も伝もないんだよ。だからさー」

アンタ、美人だし、と付け加えた。


「ふーん、まあいいよ。やってあげる。ただし今回の舞踏会だけ。それでいい?」

コイツは普通に断ったところで諦めないだろうと見越したシンデレラは諦めさせるためにそういった。

「もちろん。」

魔法使いは自信満々に答えた。




「うわ、なにこれ...。少女趣味ー」

半刻後、王城の前にとめられた馬車の中でシンデレラはふわふわのピンクをメインにしたドレスを身につけていた。

「だよなー、オレも思うよ。でも、王子の好みって女の子らしい感じらしいからさー」

何事もなさげに言った。

「あー、あとこのドレス12時になったら消えるからそれまでにはここに戻って来てなー。」

12時までがんばればいいのね、と心の中でつぶやくと馬車の扉が開いた。

「では、これをどうぞ。」

魔法使いがガラスの靴を差し出しそれを履くと馬車から降りるシンデレラに手を差し出した。


「いってらっしゃいませ。」


階段を上がり舞踏会の会場の扉が開くとすべての視線はシンデレラへと向いた。

そしてざわめきだした会場から1人の上等な服の男、王子が出てきた。

「姫、僕と踊ってください。」

「喜んで...。」

後から来たことで注目を集めたことで興味を持たれたとの推測したのと王子の誘いを断るわけにも行かなかったためその誘いを受けると予想に反してそれからずっと王子はシンデレラから離れなかった。


そして...

ふっと時計を見ると12時までもうほとんど時間はなかった。

「ごめんなさい!!!」

あわてて王子を押しのけると大急ぎで会場から出て階段を駆け降りた。途中で靴が脱げた、いや地面に張り付いたが気にしてはいられないので急いで脱いで置き去りにし馬車に乗り込む。



「お疲れ様。見事だったよ。」

魔法使いは何かを含んだように笑った。




数日後。

シンデレラはまたいつもの生活に戻っていた。

「はい、どちら様でしょうか...」

家の前のざわめきに扉を開けるとそこには王宮の使者たちがいた。

「あら!!!王宮の方じゃない!!!」

それを見た瞬間、奥にいた母、姉たちが飛んできた。

それをよしとばかりにシンデレラは奥に戻る。


「この靴を履けた人を婚約者にするんですか!!!」

家中に母、姉たちの声が響いた。


ギャーギャー言っているが姉2人は履けなかったようだ。それで帰ってくれると思いきや...

「そちらのお嬢様もお願いします。」

「...。」

履けてしまった。それは当たり前だ...。なぜならこれの持ち主はシンデレラなのだから。




それからしばらくしたのち、盛大な婚約パーティーがお城で催されていた。




「さーって、そろそろオレが王宮魔法使いかな...」

お城の影でこっそり笑っていた。

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