残酷さを
クラス、サッカー部、コーラス部はそれぞれ着々と準備が進んでいた。文化祭まで残り2週間、校内のあちこちに作りかけの看板や衣装らしきものが置いてあった。
結局、音楽祭に引き続き遊はコーラス部に助っ人として参加することになった。なぜなら曲目に音楽祭でやった曲が入っているのだ。そんなわけで3つの出し物に参加する遊は大忙しだった。
「えーっと、メニューは...」
文化祭の準備にと当てられたLHRの時間。遊は1人調理室を占領していた。メニューの考案はやっとのことで終了したところだった。遊の手元にはご飯もの3種類、デザート3種類、焼き菓子3種類のレシピがあった。これは今回の文化祭のためにアレンジしたものでどれも大部分が前日のうちに用意できるようになっていて当日は盛り付けのみ、というようなものだった。
「お疲れ様。」
そこに現れたのは衣装を作っているはずの悠だった。
「あれ、お疲れ様。どうしたの?」
女子がうるさいから抜けてきた、悠はしれっと言い放った。
「文化祭、楽しいか?」
不意に悠は問いかけた。
それに対し遊は少し驚いたが一呼吸おいて返した。
「楽しいよ。」
放課後。
「遊!!!」
音楽室に向かう途中で声をかけたのは澪。
「お疲れ様、クラスのほう終わったの?」
衣装班は放課後も残って衣装の制作に励んでいたはずだった。
「あぁ、大体終わったよ!あとは手直しとかだけだから。」
そんな話をしながら音楽室への道のりを歩いた。
「それじゃ、失礼しました。」
コーラス部の練習を少し早く抜けて向かったのはサッカー部。ここのところはサッカー部も少し早めに練習を切り上げて文化祭の準備をしているのだ。
「憬都ー!」
途中で見つけたのは憬都。手にはダンボールや画用紙、ペンなどを抱えていた。
「おう。」
「それ、文化祭の?」
まあな、と憬都は肯定した。
文化祭はすぐそこに...。