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With You.  作者: 聖涙
第四章 紅葉が彩る季節
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反旗を翻し

それから2週間、遊はコーラス部との練習を始めたのだった。


「あ、久しぶりです。」

必然的にサッカー部の1年生になかなか会えなくなった遊が久しぶりに部室に訪れると雅幸が1人いた。

「久しぶり、最近の部活どう?」

まあまあですかね、と雅幸はいつもの調子で答えた。す

「こっちの心配はいいですから、遊先輩は音楽祭に向けて頑張ってくださいね?」

「ありがとう。」


遊を部室に残し扉を閉めると雅幸はため息をついた。

「あぁは言ったけど...。」

グラウンドを眺める。そこには遊がコーラスをやることになってから調子の上がっている悠と反対に調子の悪そうな憬都と啓良の姿がある。

「まぁ、それを先輩に求めるわけにもいかねーか...。」




それから時は進み...

「...。」

音楽祭当日。

会場のロビーでは遊が1人楽譜を見ながらうつむいていた。楽譜はお世辞にも綺麗とはいえない。書き込みや折り目はもちろん、端の方が少し擦れているところもあった。


「澪...。」

人の気配に顔を上げるとそこにいたのは澪だった。

「緊張してるの?」

澪の言葉に遊はゆっくりと首を横に振った。

「緊張ではないけどね、少し怖いの。あたしが歌っていいのかな、って...。」

それを聞いて澪は眉の根を寄せる。

「何言ってるの?私は遊がいるから歌うんだよ?だから、歌っていいとかじゃなくて、私は歌って欲しい。」

はっきりと言う澪に遊は笑みをこぼした。




「音楽祭も終わったのでまた今日からよろしくお願いします。」

土曜日の練習の前に遊がみんなの前で挨拶した。練習といっても今日は雨のため部室でミーティングだが。

「じゃ、ミーティング始めるよ。まぁ、季節的にわかってるとは思うけど...。」

ホワイトボードにはいつもみたいな磁石やコートのイラストはなく'文化祭の部活の出し物について'とだけ書かれていた。

「1年生もいるし一応説明するけど、陽明祭は3日間。1日目はクラスごと、2日目は部活ごとに出し物。3日目は午前は教師たちの出し物で午後は生徒会主催のステージイベントと後夜祭。とりあえず、部活としては第3希望くらいまでやりたいの出すってところか?」

副部長である憬都が説明した。

「まぁ、そんなとこ。何か質問とかやりたいのとかある?」

悠が問いかけると部員たちがざわめいた。


悠の先導により最終的に残った案は縁日、ストラックアウト、宝探しの3つ。

「どーするかな...。」

縁日は用意が大変でただでさえクラスの準備で削られる練習が更に削れてしまう。かといってサッカーのストラックアウトを初心者がやるのは難易度が高い。宝探...。

「先輩、この宝探しの宝、隠すんじゃなくて部員が持ってるのはどうですか?」

啓良の発案に視線が集まった。

「例えば、そのときの担当の部員で何か目印をつけてそのなかの1人が宝を持ってる。それでクイズとかで正解してそれが宝を持ってる人だったら宝をそうじゃない人だったら飴でもあげるみたいな感じとか...。」

それなら準備も楽だし予算もそんなにかからないだろう。

「よし、それを第1希望でいくか。」

悠からのOKもでてなんとなく文化祭に向けて盛り上がった。


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