自らの波に
突然だが今、遊たち4人は森のなかをあるっていた。
「涼しいー。」
「それに綺麗だねー。」
ときは夏休み前に遡る。
その日の2年B組の黒板には'林間学校について'と書かれていた。
「えーっと、夏休みまで残り1週間となりましたが、夏休みには林間学校があります。まぁ、1年生のときに行った臨海学校の森バージョンよ。」
担任の西条先生がみんなに向けて言った。
陽明中では夏休みに1年生は臨海学校、2年生は林間学校、そして冬に1年生はスキー、2年生は修学旅行に行くことになっている。3年生に限っては受験の関係もあり春先に遊園地だがそれも二泊三日でさすがは私立といったものだった。
「で、わかっているとは思うけど今日はその日程などの説明と班決めをします。とりあえず、日程を説明しちゃうわね?」
そう言った西条先生はプリントを配り出した。
林間学校は二泊三日で避暑地のペンションに泊まるというものだ。1日目は新幹線とバスでペンションまで行き班ごとに夕飯作り。2日目は班ごとにチェックポイントをクリアしながらペンションから少し離れた'森のキッチン'といわれているレストランへと向かうオリエンテーションののちキャンプファイヤー。3日目はクラスごとに森のものを使っての作品作りというもの。
「じゃ、班決めまーすといいたいところだけど男女それぞれ2人で4人だから体育祭の班でいいわよね?」
面倒だからね、と目で言われ特に異論のなかったみんなは同意した。
「えー!!!また先輩たち同じ班なんですか!!!俺も行きたいー」
お昼にそのことを話していると扉のほうから玲の大きな叫び声が響いた。
「「「うるさい。」」」
悠と澪と啓良の言葉が玲に突き刺さった。
「こんにちは、先輩。」
「こんにちはー」
「おう。」
残りの遊と憬都と雅幸はこちらはこちらで会話を交わした。
「まぁまぁ、とりあえずお昼食べよ。」
遊の言葉で3人は玲を解放しお昼を食べ始めた。
「そういえば、臨海学校ってどんな感じなんですか?」
啓良が2年生に問いかけた。
「んー、泳いだり花火したり肝試ししたりだったかなぁ?」
「あー、そんなもんじゃね?」
澪に憬都も同意した。結局は臨海学校だろうが林間学校だろうが勉強の息抜きのイベントなのだ。
「楽しそうだけど、俺も先輩たちと行きたいですよー。」
玲が口を尖らせた。
「まぁ、確かに部活以外でなかなか会う機会もないですしね。」
啓良もそう言った。それもそのはずで学校のない日はだいたい部活の予定が入っているかテスト前なのだ。
「そーだけどね。あ、、、」
ふと澪の動きが止まった。
「なら、8月の始めごろにあるお祭り、みんなで行く?」
その一言に期待した視線が悠に向けられた。
「いいんじゃない?夜なら部活もないし。」
それを聞き顔をほころばせた。
「まぁ、1年生は林間学校は諦めて臨海で我慢しな。」
そして、1年生の臨海学校から3日後の今日。2年生は林間学校の2日目、オリエンテーションを行っているのだった。