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With You.  作者: 聖涙
第二章 藤の揺れる季節
13/50

流れゆくのは

テストが明けて、いよいよ体育祭の時期になった。


陽明中等学校の体育祭はA組からD組までが縦割りでそのまま割り振られる。今年も例年と変わらずA組が赤、B組が青、C組が黄色、D組が緑とチームカラーが振られていた。

青団となった遊たちのクラスでもHRの今、体育祭の種目決めが行われていた。

とは言っても、2年生の種目として合同で4人1組の障害物競争、男子の騎馬戦、女子の二人三脚は決まっているため決めるのはそのペアやグループと3つの縦割り競技をそれぞれに割り振るだけだった。


「障害物ってどんなのなの?」

男女別のグループを決めて合同のグループ決め。すでに障害物競争のグループとして決定した遊、悠、憬都、澪は決まらない他のクラスメイトたちを待ちながら喋っていた。

今年、転校してきた遊以外は1度は見ているはずの体育祭。遊が尋ねると悠と憬都は渋い顔をし、澪の目はキラキラしていた。

「毎年、というかレースごとに何になるかわからないっていうのがこの競技のポイントなの!」

例えば、と澪があげたのは借り物などのメジャーなものから段ボールアートまでさまざま。なんなとなく遊も不安を覚えた。



「決まったみたいだね。」

悠の声に黒板をみると10個の組が書かれていた。

「は?俺らラストなの?」

憬都に言われてよく見ると確かに遊たちの名前は一番下の10と書かれたわきにあった。

抗議しようにも話はすでに最後の縦割り種目決めに移ったあとだった。



「縦割りの種目はリレーが男女4人ずつ、応援が男女8人ずつ、競技が男女8人ずつです。」

競技はなんでもとれ!というもので、この学校の恒例種目になりつつあるものでグラウンドに並べられたさまざまなアイテムをどんどん取っていく、竹取りの竹がいろいろなものに変化したものらしい。なんでもアイテムの得点は終わってみないとわからないらしく昨年の最高得点のアイテムはまさかのほうきだったらしい。

「えーっと、リレーは昨年末の50m走の上位者にお願いしようと思うんですがどうですか?」

その意見は賛成多数で決定し、黒板には悠と憬都の名前も載っていた。


「ねぇ、澪。もしかしなくても50m、手抜いたよね?」

悠の容赦ない言葉に澪は悪びれもせず淡々と言った。

「だって面倒だもん、運動。」

はぁ、とため息をつくと悠は呆れたように目をそらした。




放課後。

澪とともに応援になった遊は青団の応援メンバーの集まる1年B組の教室に来ていた。

応援は1年、リレーは2年、競技は3年の教室でそれぞれ顔合わせらしい。


「では、はじめます。まずは団長からあいさつです。」

応援の先輩は明るくて気さくな人が多くてやりやすかった。

なんでも今年の青団の応援は歌と劇のようなものを入れてミュージカル風にやるらしい。

それを聞いたときの澪のなんとなく暗くなった表情に遊は気がつかなかった。



「えっ!!歌ですか?」

練習の途中で先輩に呼ばれて遊と澪が頼まれたことは応援のときの歌を担当すること。

「…それは私がコーラス部だからですか?」

澪が小さく言った。

「まぁ、それに茅ヶ崎さんも前の中学でコーラス部でしょ?」

まぁ、と答える遊を澪は恐ろしいものを見るような目で見ていた。

「じゃあ、これ楽譜とCD。とりあえず、1時間したら合わせるからよろしくね。」

それだけ渡して先輩は練習に戻ってしまった。それは最近人気の女ボーカルが2人のバンド。


澪はその場で凍りついていた。

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