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With You.  作者: 聖涙
閑話〜1年前〜
10/50

創るもの~1年前~

第二グラウンドでは今日もサッカー部の声が響いていた。


「よし!じゃあ今日はミーティングやるから上がって!!」

先日のU-13の地区大会を勝ち抜いたサッカー部は県大会を控えていた。創部して半年。部員も初期は11人ギリギリだったがそれから人数は2人増えて1年生だけの13人。しかし、もともとサッカーを本気でやっていて入学したら創部しようとしていた人が多かったためかレベルは高くコーチや飛鳥の指導もあってかかなりの速度で上達している。もちろん、このチームでダントツのうまさを誇るのは悠と憬都だったが。


2人は小学生から県のトレセンに呼ばれていた実力者。とはいっても悠がこの県に来たのは小学6年生の後半のため一緒にプレーすることはなかった。


「じゃ、今度の大会でのフォーメーションはこの3つ。次に俺が来れるのは明後日だから西条先生とキャプテン、副キャプテン中心にしっかりな!」

コーチから最後に一言もらい解散のあとミーティングルームに残ったのは悠と憬都、それに飛鳥と澪だった。

「澪、大丈夫なのか?自分の部活。」

「あー、全然平気。むしろ私は練習しない方がいいもん。」

憬都にあっさりとでもなんとなくすねたように澪は返した。でも、それについてこれ以上触れることはなかった。

「大会は次の土曜。練習できるのはあと5日。」

悠がいう。

「目標は?」

「もちろん優勝だろ?」

澪に自信満々に答えた悠。憬都も口元が笑っていた。それからしばらく4人で明日からの練習についてミーティング。そして帰る直前に思い出したかのように飛鳥が3人を呼び止めた。

「忘れるところだったわ。これ、渡そうと思ってたの。」

飛鳥がカバンから取り出したのは1つのビデオカメラのメモリだった。

「このメモリが何か?」

受け取ったメモリを見ながら憬都が尋ねると飛鳥は嬉しそうに笑った。

「見てからのお楽しみよ。2人ともしっかり見てね。」

そしてそのまま飛鳥は部室を閉めて職員室に戻っていった。



「どうするの?それ。」

渡されたメモリ。見る、べきなのだろう。

「憬都と澪も、このあと大丈夫か?」



「じゃ、飲み物持ってくるから適当に座ってて。」

今日は親がいないから、と言われ憬都と澪は悠の家にお邪魔していた。通されたのは3階の悠の部屋らしきところだが。

「ベッドとか机とかないね。」

そう、澪のいう通りそういったものは一切なかった。あるのはテレビやテーブルやソファで、なんとなくリビングのような感じ。そしてそこからは左右に1つずつ同じような扉があった。


「お待たせ。じゃ、見るか。」

3人分の紅茶とクッキーを置くと悠は早速メモリの映像をテレビに映した。

「誰だ?」

画面に映った見慣れないユニフォームの選手に憬都はつぶやいた。しかしそれもつかの間、悠と憬都へそのプレーを食い入るように見つめた。




「面白いもの、見せてくれたね。」

「あぁ。」

その映像のセンターバックのプレーはまさに2人の理想。しかも、そのコンビネーションは…。

「「やってやろーじゃん。」」




ー陽明中等学校 U-13県大会 ベスト4

プロの下部組織に引けを取らない結果となった。


そして、ここから陽明中等学校のセンターバック2人のプレーは10年に1度の逸材、と密かにささやかれるようになったのだった。

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