任務
「緊急事態って・・・また、仕事貯めたんですか?」
僕はそう訊ねたが、彼女は僕の言葉を聞いて怒った。
「そんなのだったら何百倍もマシよ!」
彼女がそういうことを言うのはすごくめずらしい。
何処かにでも頭をぶつけたのだろうか。
「頭はぶつけてないから安心して」
彼女は読心術でも使えるのだろうか。
「顔にそんな感じのことが書いてあるわよ・・・さて、冗談はここまで」
目つきと、その場の空気が変わった。
「偽りの神が復活したの」
僕は氷ついた。手や足が動かない。
「信じられないだろう・・・だけどこれは事実だ」
「何故・・・何故、アイツが復活したんですか!?アイツは・・・」
偽りの神・・・それは、この世の全ての時を狂わせようとした偽者の神だ。
時の神様に匹敵する力を持っており、時の神様は偽りの神のせいで、3年間
戦いの傷を癒すために眠っていた。時の神様を大怪我させた強敵だ。
「ああ、私が10年前に封印した」
「では何故!!」
「どうやら、何者かが封印を解いたらしい」
「あの封印をですか!」
「ああ。問題はそれだけじゃない」
偽りの神が復活しただけでも大問題なのに・・・問題が山積みだ。
「時間をつかさどる妖精達が、偽りの神に記憶を消された。
そして、時のバランスを保つ歯車が消失してしまったの」
「消失・・・消えてしまったんですか!?」
「一時的にね・・・でも、妖精達は自分の持つ歯車を再生することが出来る
から、そこは問題ないわ」
僕はそれを聞いて少しだけ安心した。
「妖精達は記憶を失い、人間の姿となって普通に人間界で生活してるの」
「僕、妖精達が人間の姿になってるの見たことないんですが・・・」
「私も無いわ」
キッパリと断言された。
「でも、レラン。貴方なら妖精達を探すことが出来る。時の訪問者の力で」
「つまり・・・時を渡って、妖精達を救えと。そして歯車を再生させろ。
ということですか?」
「分かってるじゃない。そういうことよ、これは貴方にしか頼めないことよ。
お願い!」
「お願いじゃなく、命令すればいいのでは?」
時の神様に僕みたいな神でもないモノが逆らえるはずがないのだから。
「それもそうね。まぁ、とにかく頼んだわ。一刻を争う事態だから」
「了解しました」
そうして僕の時を渡る、時の訪問者としての任務が始まった。
謎に包まれてる部分が多い・・・と思いますが、
その内、少しずつ明かしていくつもりです。