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【IOF_89.log】異世界服(第一種)

 お疲れさまです。

 警察庁長官官房付兼ねて警視庁異世界警察署長警視正福原珠梨です。

 勤務中異常なし。


 オヤシーマ王国との国交が樹立されてからは怒涛の数日間でした。

 主に、異世界警察署を在オヤシーマ王国日本大使館にする手続きです。それに伴って、大使を置く必要があり、私が臨時の代理大使に任命されることになったのです。

 分かっていたことなので特に驚きはありません。ため息は出ますが……なんで私が……


 幽霊さんも日本との往復に忙しい毎日です。その分、ビールの在庫が増えるという嬉しいおまけがつきます。

 ビールよりもっと嬉しいおまけが届くこともあります。

 日本にいる父母から直筆の手紙が届きました。

 父からの手紙は、ほとんど業務マニュアルのような内容です。信任状捧呈式の要領について、事細かに説明がなされていました。事細かというより微に入り細に入り書き込まれていると言った方が適切かもしれません。それほど仔細なのです。

 パソコンで作ればいいのにと思いましたが、あえて手書きにしたところに娘に対する思いのようなものを感じます。


 母からの手紙は、もうひたすら私への心配です。

 元気にしているか。ご飯は食べられているか。風邪は引いていないか。果ては、お小遣いは足りているかとまで書いてあります。気持ちはありがたいのですが、いかんせんこちらでは日本円が使えませんので、もしお小遣いをもらっても使い道がありません。最後にアッサム語で「সোনকালে ঘূৰি আহক।(早く帰ってきて)」とありました。


 帰れるかしら……


 いずれ署員は帰れるようにするつもりです。

 そのとき、全員が帰るわけにはいきません。

 大使館業務もありますし、なにより私は国を代表する大使になる予定です。

 他の人は帰ってもらうことになっても私は残ることになるだろうと予想しています。

 なので、両親には、直接会うことは叶わないと覚悟をしているところです。手紙の返事には書きませんが……


 そんなちょっとしんみりした気持ちで迎えた信任状奉呈式当日です。

 日本での信任状奉呈は、東京駅かパレスホテルから馬車で皇居に参内するのが慣例です。

 それに倣って、今回の信任状奉呈も馬車を利用することになりました。

 ただ、オーメ領から馬車で王都に向かうと時間がかかり過ぎます。ですから、王都の貴族街までは車で向かい、貴族街の一角にある王宮騎士団の詰所で馬車に乗り換えることになりました。使用する車ですが、私の制服がドレスに近いデザインのため、セダンでは乗り降りに支障があるということで、生活安全課のストーカー対策車を使うことになりました。ストーカー対策車は、ミニバンで乗り降りが容易です。品格も大事ですが、乗り降りで服装が乱れてしまったのでは本末転倒です。


 王宮が手配した馬車は、おそらく最高級のもの。内外装に豪華な意匠を施した見るからに立派な造りです。馬車は二頭立てで御者も煌びやかな服装です。

 あまりにも豪華で気後れしていると、どこにいるのかマーガレットさんの声で「てきぱきとお乗りください。日程が押しますので」と急かされてしまいました。はい、すみません。

 この日に向けて、警視庁の被服係が頑張ってくださり「異世界服(第一種)」が間に合いました!

 すごく立派で素敵なドレスに仕上がっています。

 では、行ってきます!


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