【IOF_71.log】辞令
申告します。
奥多摩警察署福原警部は、本日、警視庁警視に任命され、異世界警察署長兼同署警務課長兼同署交通課長兼同署警備課長兼同署地域課長兼同署刑事組織犯罪対策生活安全課長を命ぜられました。
勤務中異常なし。
今日は、5月25日。
とうとう署長になってしまいました。
どうしてこうなった? というのが正直な感想です。喜びですとか、期待感はみじんもありません。まったく望んでいない昇任です。なぜ私は望んでもいないのにどんどん昇任させられるのでしょうか?
大きな力の陰謀ですか? 陰謀論に堕ちてもいいですか?
色々思うところはあります。
ですが、署長になった以上、署員の安全や生活に対する責任が生まれます。もちろん、署長にならなくても転移したときから最上位の階級にあったわけですから、責任者としてしっかり務めてきたつもりです。これからも変わるところはありません。
むしろ、立場が明確になったことはよかったと思っています。
ええ、私の気持ちとは関係のないところで事態はあるべき方向に進んでいるに違いありません。
ならば……
乗ってやります。乗せられましょう。
どなたかの掌の上、華麗に舞ってみせましょう。
それが私に与えられた使命だというなら。
「署長、辞令の写しが文書管理システムに届いています。メモで原本はいずれ交付できる状況になったときに送ってくると書いてあります」
人事も律儀ですね。わざわざ異世界まで辞令の写しを送ってくるとは。
人事記録だけ書き換えてくれても構わないのに。
こういうのは様式行為で、きまった形式を踏まないと効果が発生しません。
辞令の原本は、いつもらえるようになることやら……




