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【IOF_66.log】奥さまからのメッセージ

 お疲れさまです。

 警視庁異世界警察署地域三係警部補奥山潤です。

 勤務中異常なし。


 幽霊の郡司さんがオヤシーマ王国から日本に行って帰ることができるかどうかの検証が始まりました。

 まず、郡司さんがみんなの目の前から消えるところまでは計画通りです。

 次にいつ戻ってくるのか分からないので、どうしたものかと思案していると、神のリリヤ様が現れ、郡司さんは無事に日本に着いたと教えてくれました。ほっとしました。

 天界でもらってきた通行証を使って移動したので、事故はないと思っていたものの、結果を知るまでは心配でした。

 無事、日本に着けたのなら、帰りも大丈夫だろうということで、全員揃って待つこともないとなり、一旦解散しました。

 郡司さんが消えてから3時間くらいたった頃、福原代理の声が聞こえました。

「わっ! びっくりした! お、お帰りなさい。ご無事でなによりです」

 どうやら郡司さんが帰ってきたらしい。

 全員で集まって報告を聞くことになりました。


 まず、日本の御岳山無線中継所に移動することには成功したそうです。

 ということは、こちらの無線中継所と日本の無線中継所は、ほぼ同じだと考えてよさそうです。

「そこからはちょっと計画通りにいかなかったんですよ」

 何かアクシデントがあった模様。

「アクシデントってほどのことじゃなかったんですけど……真っ暗だったんです。中継所の建物の中が。だから、なんにも見えなくて、金貨を置いたところで写真も撮れませんでした」

 そういえばそうだ。日本の中継所だから電気は通っているはずで、照明を点けることはできなかったのだろうか。

「真っ暗でスイッチの場所も分かりませんでした」

 たしかに。

「そうなると計画どおりにはいかないので、どうにかするしかありません」

 どうにかしたんだろうなあ。


「鷹の巣駐在所に行ってきました」


 なんだって?!

 なんでまた私の駐在所に? そういえば前に駐在所の場所を話したことがあったような気がします。

「駐在所で奥山さんの奥さまにお会いしてきました」

 妻に!

「妻は元気でしたか!? 娘は?」

「まあまあ、落ち着いてください。奥さまはお元気でした。残念ながら娘さんにお会いすることはできませんでした」

 妻の安否だけでも確認できたんだ。十分すぎます。

「奥さまに事情をお話して、金貨を預かってもらいました。そして、金貨を奥多摩警察署に届けてもらうようお願いしました。それから、金貨を持った奥さまの写真を数枚撮ってきています。カメラからカードを抜いてパソコンで見てみてください」

 なんと! 妻の写真がある!

 福原代理が郡司さんからカメラを預かってカードを抜き、カードリーダーを介してパソコンにデータを取り込みます。


「つ、妻です!!」


 思わず大きな声が出てしまいました。

 元気そうな妻の姿を見て安心したのか、目頭が熱くなって視界がぼやけます。

 もう会うことは叶わないと思っていた妻の今の姿を見られるとは……

 よく見ると妻の目元がうっすらと赤く染まっています。私の無事を知って泣いたのかもしれません。

「別れ際に、奥さまから奥山さんに伝言を預かってきました」

「聞かせてください!」


『留守はしっかり預かります。だから、必ず生きて帰ってください。娘ともども待っています』


「全文そのままです。愛されてますね」

 当然ですとも!

「郡司さん、本当にありがとうございます」

 郡司さんと握手をしようとしましたが、手がすり抜けてしまいました。やっぱり幽霊です。

「なんか、私だけ家族の近況を知ることができてしまい申し訳ない」

 嬉しい反面、他の皆さんに申し訳ない気持ちが抑えられません。

「えー、申し訳ないことありませんよ。奥山係長が嬉しいなら私も嬉しいですもん。嬉しいのお裾分け、こちらこそありがとうございます」

 生安の正村さんが嬉しい言葉をかけてくれました。

 そうですね、嬉しい気持ちはみんなでシェアできるんですよね。

「今度行くときは、奥山さんの写真とビデオレターを届ける約束をしました。ご家族を感動させられるようなお言葉を考えてくださいね」

 うわ、今から緊張します。


「あ、あと、私、神になったらしいです。名前だけですけど」


 衝撃的な報告が飛び出しました。

「なんでも、冥魂府通行証を使えるのに幽霊ではまずいだろうということになって、天界での扱いとして擬制神っていう神格が付いちゃったとか。実態は幽霊のまんまですよ? でも、天界以外の世界では『幻神』と名乗ってもいいそうです。まあ、恥ずかしいんで幽霊で通します」

「それ、ゲームのパクり……」

 小路さんがぼそっとつぶやきました。そういうゲームがあるんですかね? ゲームのことはさっぱりです。

 それにしても、うちの署には2柱の神がいることになるんですね。祀っているのではなく「いる」。もしかして、これはすごいことなのでは?

「そのうちもっと増えるかもねー」

 あ、リリヤさんどうも。それは何かのフラグですか?

「なにはともあれ、幽霊さんお疲れさまでした。臨機の大活躍、お見事でした。私は、検証結果を本部報告します」

 福原代理は色々大変そうです。警務課長代理っていうのはそういう立場なんですよね。

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

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