【IOF_103.log】通貨単位「ジュリ」
お疲れさまです。
駐オヤシーマ王国日本国大使館三等書記官兼ねて警視庁異世界警察署会計係主事小路結です。
勤務中異常なし。
「複式簿記の指導をしていてひとつ気づいたことがあり、それを具申しに参りました」
「どのようなことだ?」
「現在、オヤシーマ王国では、通貨の単位が存在しません。銀貨何枚、金貨何枚というような数え方をしています。これだと帳面にお金の金額を記すのにとてもとても不便です。『大金貨1枚、金貨1枚、銀貨1枚……こんな書き方をしていたら金額が分からないだけでなく、間違いのもとにもなります。そこで、通貨の単位を制定するのです。私たちの祖国では『円』という単位を使っています。そうですねえ……オヤシーマ王国では『ジュリ』のような単位を制定するのを推奨します。そうすれば、金額の表記がすっきりします。どの通貨をいくらにするかは政治判断ですが、一例を示します』
私は、紙にメモを書く。
紙とボールペンに驚く王様と宰相。はいはい、あとでプレゼントします。
白金貨 = 100,000ジュリ
大金貨 = 50,000ジュリ
金貨 = 10,000ジュリ
大銀貨 = 5,000ジュリ
銀貨 = 1,000ジュリ
銅貨 = 100ジュリ
「どうですか? 基準としては妥当な線だと思います。これを、先ほど例に挙げた『大金貨1枚、金貨1枚、銀貨1枚』にあてはめると、61,000ジュリということになります。ずいぶん分かりやすくなりましたね。もちろん、50ジュリや、1ジュリといった通貨を発行することも可能です」
「これはすごい! 通貨の革命ですぞ、陛下!」
宰相の食いつき様がすごい。
「ジュリも短くて言いやすいな」
王様が頷いた。よし、いける。
「テンテルですと普段使う通貨の単位としては畏れ多くて気が引けます。その点、使徒であるフクハラ様のお名前なら国民の納得も得られやすい単位かと」
宰相の後押しいただきました。
「よし、早速布告だ。我がオヤシーマ王国の通貨単位を『ジュリ』と定める!」
通貨単位を具申したのは、なにも私の推しである署長の名を残したいというだけではない。
8割方そうだとしても、だ。
複式簿記と併せて通貨単位を定めれば、この国の経済は間違いなく発展する。経済の発展は信用取引なくしては考えられない。そして、信用取引を行うには複式簿記がどうしても必要になる。
道筋は付けた。あとはフルスに頑張ってもらう。
数年後、フルスは王国の初代財務長官となり、経済発展に大きく寄与する。私は財務大臣夫人……だ。
さらに後、自動車産業が興るとフルスは「経済をフルスロットルで回した偉人」として語り継がれる。人の夫をダジャレのネタにするな。




