6. エンジェル
地雷系って言葉はアレだけど、単なるファッションにすぎない。
アバターと同じで、見た目で判断しちゃいけないんだ。
電車で1時間くらい。県内の観光地に降り立った。
美羽ちゃんが「会いたくなった」と言ったのは、“会って話がしたかっただけ”という意味に捉えていたのだけど……。
気付けば、あれよあれよという間にデートプランが組み立てられていく。この観光地も美羽ちゃんが行きたいと言っていた場所。
遊園地があって、買い物も食事もできて、映画館や博物館、夜景を楽しめる公園もある。いわゆる恋人たちのデートスポット。
今日が初めて会った日だというのに……。
いいのかな、こんなに楽しく過ごしても。
「下手だなぁ、拓海くん」
僕のぎこちない手つきを見て、美羽ちゃんが笑う。
ショッピングモールの一角に置かれた、クレーンゲームに夢中になっていた。
苦手なんだよ、こういうの。ほら、隣にいる小さな男の子だって苦労している。距離感を掴むのが難しいんだ。
美羽ちゃんは得意なのか、すでに2つもぬいぐるみを抱えていた。
「こっち来て。横から見ながらボタンを押すといいよ」
機械の横から見ていた美羽ちゃんが、僕をグイッと引き寄せる。
本日の最短距離! 髪の匂いが心地よく香る。
こうして見ると、美羽ちゃんって小柄なんだな。150センチくらい? 僕より20センチは小さいのかな?
あっ……!
思わず声が出そうになった。
上から見下ろすことになった美羽ちゃんの胸元が……、見えてしまう。身長差ってこんな利点が……?
いやらしい眼力では遠近感も狂わす。
アドバイスも空しく取れなかった。まぁ、仕方ない。
隣にいた男の子も取れずに諦めたようだ。
悔しがる同士に気付いた美羽ちゃんは、男の子の方へ歩いて行った。ギョッとした顔をする男の子。そりゃそうだ。僕だって硬直したくらいだから。
持っていたぬいぐるみをひとつ男の子に差しだして、「2つあるからあげるよ。頑張ったね」と健闘を労った。
「いいの?」と目を輝かせて喜ぶ男の子。
やっぱり美羽ちゃんって天使なんじゃないか?
(⸝⸝•ᴗ•⸝⸝) つづくかな