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重い想い

作者: カルロス

重たいのが苦手な方にはおススメできない作品です(そんな人はこのページを開いていないだろうけど)

 千尋と別れてもうすぐ9年になる。


 いまだに夢を見るくらいには忘れられないらしい。


 昨日は千尋の誕生日だった。


 ラインで彼女の画像を見たら、どうやら子供が生まれたようだった。


 もしあの時、記念日に拘らず、千尋と結婚していたら、一体どうなっていただろうか。


 幸せになる道もあったのだろうか。


 あの頃は生きるため、幸せになるために必死になって頑張っていた。


 おそらくあの生活を続けていたら、いつかきっと潰れてしまっているだろう。


 千尋と別れたとき、悲しみや憎悪の他にも、これ以上頑張らなくてもよいと、安心してしまった自分がいた。


 別れてから1ヶ月後、寂しくなって、二人でつけていた交換日記を見返した。


 すると、最後の方に文字が追加されていた。


 要約すると、今までありがとう、幸せでした。私のことは忘れて、他の女の子と幸せになってください。と書かれていた。


 せっかく嫌いになろうと努力していたのに、それを見たせいで、嫌いになんてなれなくて、いまだに俺の心はそこにとらわれてしまっている。


 他の女性と仲良くしようとするほど、忘れようとする俺の心は罪悪感を覚え、その女性にも、千尋ならこういうときはこうしてくれた、こう返事してくれた。こう優しい言葉をかけてくれた。そんな気持ちを抱いてしまう。


 これは、まるで千尋が俺にかけた呪いのようだ。


 それでも忘れようと思い、好意を向けてくれた女の子、風子と1年付き合ってみた。


 風子は家庭の事情でお付き合いを継続していくのが難しく、いずれ別れの時が来るのが決まっていたようなものだった。


 だからこそ、安心して付き合うことができた。


 心の底から好きにならなくてもいいからだ。


 風子にはひどいことをしてしまった。もしかしたら千尋もこんな気持ちだったのかもしれない。


 一体どうやったらこんな気持ちで他の人と付き合うことができるのだろうか?不思議でたまらなかった。


 少なくとも俺には無理だった。


 風子とのお付き合いは、俺からするとおままごとのように感じた。


 情を抱くことができるかもと、性的な接触をしてみたが、俺の体はまるで無反応だった。


 きっとこれからも俺はそういった行為をすることはできないのだろう。


 だから俺は独りで生きていくしか道は残されていない。


 誰かと添い遂げても、その人を幸せにすることなど、できないのだから…

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