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無敵なのがいいんです。


 ジャンガの森を抜け、また改めて駆け出すアインとダフネオドラ。大きな荷物を引きずりながらになるので速力こそかなり落ちたものの、あいも変わらずペースは全く衰えない。一般的な人間の全速力のスピードでひたすらに駆け回る。


「なんだかんだ思ったより早く出られてラッキーだったかも。だいたいこういうところって試練が待ってるものじゃない?」


「……貴女は雑な戦闘をしていたからお気付きにならなかったでしょうけども、ほんとなら2回ほど死んでますからね。」


「あー、確かにね。頑張って鍛えてきたから、こう上手く身体で止めれると思ってたんだけどなぁ。」


「……もうすこし身体を大切にしてください……いくら不滅とはいえ、痛みはあるのですから。」


「長老とおんなじこというー。でも、万が一、ダーちゃんで受けて刃こぼれでもしたらそっちのが辛いし。」


「いくらなんでも私はそこまで柔では……はぁ。」


 アインの肩にしがみついたまま小さくため息をつく。これから正義を為す恩人の子孫に傷ついてほしくない一心から譲渡した不滅の力、それが彼女を不幸にしているのなら。


「あ、だめだよ。」


 そんなダフネオドラにアインは走るスピードは落とさず、だけどまるで太陽のような明るい声で応える。

 

「?」


「もうボクたちは一蓮托生。逃さないよ、ダーちゃん!ダーちゃんがいないと、ボクはまともに旅もできない可能性あるしねぇ〜。」


「そんな後ろ向きな宣言がありますか……。世間知らずのお姫様じゃないんですから。」


「世間知らずの王子様だよ、ボクは。でもそれでも、成し遂げたいことがある、それは今回反乱した魔族たちへの復讐。だから誰かの助けが必要なんだ。」


 その決意を込めるかのように、自分自身に言い聞かせるかのように、アインは一言一言を力強く言葉にする。


「全ての魔族を嫌おうなんて思ってない。お父様は不器用だったけど、分け隔てなく国民を愛していた。だからこそ、あいつを許さない。」


 ダフネオドラは肩に乗っているため、小さな歯軋りの音が聞こえてしまう。


「……まずは火国にどこまでの情報が流れているかを知る必要があります。到着前に近くを歩く商隊や冒険者などを探しましょう。」


「……うん、情報は大事だもんね。」


 そうやって街道を進んでいく途中、ダフネオドラの休憩のために少し逸れた河原で休むことにした二人。


「ずっとしがみつくというのは……なかなか疲れますよほんと……。」


「だんだん鍛えられるかもよ。」


「貴女がもう少し手加減してくだされば良いのです!


 河原にあった大きめの石をベッドに横たわるダフネオドラ。大きめの葉っぱを団扇がわりにダフネオドラを冷やすアイン。


「あー!そういうこと言うんだ!しがみついてるだけのくせにー!」


「そもそもが私の【不滅】ですよ!思いやるということを知らないんですかこのアンポンタン!」


「あんぽんたん……?……というか反論をする元気はあるんだなーこのー!」


「あっ!ひゃめなさい!口をひっぱるのをひゃめるのです!はなのめがみですよわたしは!」


 二人が仲良くわちゃついていると、ふとした瞬間がさりと近くの茂みが揺れる。


「!」


 アインは音が聞こえた瞬間、すぐにダフネオドラをぼろ布の中へ隠した。いまのダフネオドラは妖精族にしか見えない。賊に見られてしまったら格好の獲物だ。


「むがっ……。」


 ダフネオドラも、不満には感じつつも大人しく静かにする。どこからともなく剣を出す瞬間を見られるわけにもいかず、アインは素手のまま構え、警戒する。


「……。」


 そのままがさがさと音を立てながら茂みから飛び出してきたのは、汚れた黒い服に身を包んだ子供だった。そのままふらふらとおぼつかない足取りでアインに近寄ってくる。


「……恵んでいただけませんか……なにか……食べるもの……。」


 深いフードの奥は、どのような顔をしているか分からず、アインは警戒を解かない。


「……生憎だけどボク達も旅の途中でね。あまり持ってないんだ……キミ、名前は?どこに住んでるの?」


「リーフ……です。……この辺で……あぅ。」


 リーフと名乗った子供は体力が尽きたのか、そのまま倒れてしまう。よく見ればか細い身体だ。何日も食べてないのだろう。


「……放っておくわけにもいかないか。」


 緊張を解いたアインは頭をポリポリとかきながら、立ち上がる。その手には袋から頭だけをひょこりと出したダフネオドラ。


「そうですね。危険はなさそうですし。……それならば解放してくださっても良いのでは!?」


「頭だけ出してるダーちゃん、ちょっと間抜けで可愛くて。」


「かわっ……。」


 間抜けと言われたのはまるで聴こえなかったように赤面するダフネオドラ。そんな彼女を横目に、アインはリーフを抱き抱え、近くに身を隠せる場所はないかと探すのであった。


「ひとまず安全な場所に移動させて……何か食べられるもの、狩ってこよう。」


「……魔物の肉を焼けば良いのでは。」


「……あーそっかぁ、たしかに。」


 空腹も感じなくなったアインは食事の感覚が抜けていた為、確保した狼達の肉を焼けばいいことを忘れていた。

 ダフネオドラが植物に聞き出し、そのまま近くの小さな洞穴を見つけ出した彼女達は草を集めたベッドにリーフを寝かせ、朽ちた木を集めた。

 

「じゃあ火の確保だ!知識は任せたぞダフネオドラくん!」


「急になんですか。……摩擦で火を起こしましょう。良いですか、私のいう通りに……ちょっと話聞いてます!?」


「うおおお!燃えろ燃えろ!」


「いやですから叩きつけても燃えないんですよ!火種をですね……!聞きなさいよ!」

 

 

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