8.伊勢うどんの食感にハマる!
8.ふにゃふにゃだとは言わせない!
会社の旅行で伊勢神宮に参拝したことがある。元号が“令和”に変わる3か月ほど前になる。新幹線で名古屋まで行き、そこから貸切バスで伊勢へ向かった。
伊勢神宮と言えば内宮と外宮があり、テレビなどで良く紹介される宇治橋を渡って行くのは内宮になる。そういった意味でお伊勢参りと言えばこの内宮へ行くというのが一般的なのかも知れない。けれど、先に外宮へ行ってから内宮に行くのが正式なお参りなのだそう。ボクらもこれにのっとって外宮から内宮へとめぐって行った。
伊勢の名物と言えば先ず最初に思い浮かぶのが“赤福”ではないだろうか。個人的には甘いものはあまり好まないのだけれど、お土産で買って帰ろうかと家族に話をしたところ「要らない」と即答され苦笑する。家族にしてみれば、そんなあんこのかたまりよりクッキーやケーキといった類のものの方が嬉しいらしい。
でもまあ、“赤福”だけが伊勢の名物ではない。他にも“松阪牛”や伊勢海老など考えただけでよだれが出そうなものがたくさんある。そんな中で今回紹介するのは“伊勢うどん”だ。「ふにゃふにゃで歯ごたえがない」などの評判であまり好感が持たれていないイメージもあるがボクは割と好きだ。とはいうものの、伊勢うどんを食べたのはこの時が初めてだったのだけれど。
おかげ横丁は伊勢神宮(内宮)のおはらい町だ。お土産屋さんや飲食店で賑わっている。その中の一角に『ふくすけ』という伊勢うどんの店がある。話のタネにと入ってみる。
外宮、内宮と参拝し、歩き疲れたところで先ずはビールを注文。つまみには板わさ。軽くのどを潤してから伊勢うどんを注文。初めて見た伊勢うどんはいつも食べているうどんとはちょっと変わったビジュアルをしていた。まず、つゆがない。そして、極太のうどんが入った器の底に真っ黒いたれのようなものが。どうやらこのたれをまぶして食べろということらしい。たれが全体にからむように箸でかき混ぜ最初の一口をすする。
「柔らかい…。でも美味い!」
甘辛いたまり醤油のたれがいい。疲れた胃に優しくしみわたる。それほど熱くないのもいい。これなら猫舌のボクでもするする食べられる。麺もふにゃふにゃだというけれど、もちもちしていてなかなかの食感だ。あっという間にペロッと食べ終える。
「これは土産に買って帰ろう」
土産用に5人前を購入。家族に評判が悪かったとしても、これなら一人で毎日でも食べられる。
最近になって日曜日に浅草を訪れた時にROXの前の歩行者天国にキッチンカーが何件か出ていた。その中に伊勢うどんの店があった。なんだか懐かしくて一杯頂いた。
「これこれ!」
もちもちの極太麺に真っ黒な甘辛いたれ。これにはかなりハマってしまった。翌週も来てみると同じ場所にそのキッチンカーがあった。ボクは嬉しくてニヤニヤしながら足を速めた。