3.土用の丑の日は鰻を食べよう!
3.土用の丑の日は鰻を食べよう!
『本日土用丑の日』
ご存じ平賀源内が夏場に売り上げが落ちる知人の鰻屋に、こう書いた大きな看板を出させ、それを目にした客が足を止めたところに、「精のつく鰻は夏を乗り切るのに最適」と言って客を引き入れ、大繁盛したというエピソードは有名だ。それがもとで土用の丑の日には鰻を食べるという風習が定着した。
ボクも土用の丑の日には必ず鰻を食べる。
ところで、“土用”ってなんだ? 調べてみた。
土用は、立夏・立秋・立冬・立春の「四立」直前の約18日間のことを言うのだそうだ。俗に鰻を食べるとされる土用の丑は立秋前の18日間の間の丑の日のことなのだ。十二支は12あるので、場合によっては丑の日が2回あることもあるわけだ。ということは何だ? 土用の丑の日って夏だけじゃないじゃないか。だったら、春・夏・秋・冬と年に四度は鰻を食べたらいいじゃないか! とは言え、鰻にも旬はある。本来なら秋~冬らしい。だから夏場の鰻は売れなかったのだろう。
そんなうんちくはこの辺にして、今年も美味しい鰻を食べさせていただいた。
浅草は雷門道通り沿いにある『川松本店』さん。ボクは毎年ここで鰻をいただく。毎年と言っても今年で3回目なのだけれど。
鰻を食べるのは何も土用の丑の日だけではない。鰻はボクの好物の一つなのだから。とは言え、値も張る。そうしょっちゅうというわけにはいかない。そして、普段食べる鰻は牛丼チェーンの鰻だ。牛丼チェーンだからと言ってバカには出来ない。値段の割には意外と美味いのだ。中でも僕が一番うまいと思うのは『吉野家』の鰻。他のチェーン店のものも美味いのだけれどボクは『吉野家』が好きだ。
話がそれたが『川松本店』さんでは必ずうな重の“いかだ”を注文する。けっこうな値段がするのだけれど、年に一度の贅沢だ。酒を飲みに行って一万、二万払うことを考えたら安いもの。
店に入るとエレベーターで2階に上がるように案内される。席に着いたら早速注文する。
「いかだをお願いします」
「今から調理するのでお時間いただきますけどいいですか?」
もちろん! これが食べられるのならそれくらい待つのは苦ではない。けれど、それが運ばれてくる前にビールを一本。それとつまみに前菜の盛り合わせを頼む。グラスに注がれた金色の液体は芸術品だ。ちょうど一本飲み終えたころに真打登場!
重箱からはみ出さんばかりの鰻が二枚、いかだのように連なって乗っている。牛丼チェーンの鰻と違って見た目だけでも豪華だ。その鰻を一枚ずつめくってご飯に山椒を満遍なく振り掛ける。鰻を戻したら山椒が効いたご飯ごと一口サイズに箸で切り取って口に運ぶ。
「間違いない!」
ちょっと山椒を掛け過ぎた感はあるが、それにも負けない風味豊かなた甘辛いたれに包まれ、ふっくらと仕上げられた鰻はやっぱり絶品だ。最初の一口を味わった後は重箱を持ち上げて一気にかき込んだ。値が張るものだからと言ってもったいぶってゆっくり時間をかけて食べることはしない。“温かいものは温かいうちに”がボクのモットーなのだ。
食べ終えて会計に降りると“心付け”なのだと言ってお土産を頂いた。今年は浅草の煎餅屋さんの海苔巻きあられだった。こういう気遣いも嬉しい。来年もまたここで鰻を頂こう。
※今はアルコール類の提供はされていないのであしからず。