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21.グルメは料理のみにあらず

21.グルメは料理のみにあらず


 美味しいものは料理だけではない。口に入るありとあらゆるものの中に美味いものはある。例えば果物。例えばお酒。

 これまで料理を紹介しながら、そのわき役的に書かれていた“酒”に今回はスポットを当ててみようと思う。そして、その酒の中でも“日本酒”にだ。


 日本酒のイメージとはどんなものか。飲み過ぎると悪酔いするとか、臭いがきついとか、あまりいいイメージを持っていない方も少なくないようだが、それは日本が現在、居ながらにして世界中のあらゆる種類の酒が飲める環境にあるからに他ならない。ビールにワイン、ウイスキーなどなど。しかし、日本酒こそ、日本の風土で生まれた日本人に合った日本人のための酒なのだ。

 最近、日本酒が好きだという若い女性が増えている。

「美味しいから好き」

 うら若き乙女たちがそう言って飲んでくれるだけでもありがたい。ところがそんな乙女たちの中には日本酒を愛してやまない女性ファンも居る。彼女たちの日本酒に対する知識は生半可なものではない。銘柄だけでなく、産地や蔵の名前はもちろん、原料米の種類や辛口か甘口か、芳醇か淡麗かなどの性質まで知ったうえで日本酒を楽しんでいる。こういう素晴らしい女性たちと一緒に盃を合わせられる男どもが何人いるだろうか。


 JR亀戸駅東口を出て線路沿いを歩いて丸八通りに出て右折、京葉道路との交差点付近に『新花』さんはある。

 6話の最後に触れたのがこの店だ。“花陽浴(はなあび)”という日本酒が飲める店でもある。花陽浴は埼玉の南陽酒造という酒蔵でつくられている日本酒だ。ひとえに花陽浴と言っても原料米や製法などの違いで10種類以上の味わいがある。その多くはフルーティーで飲み口が良く、女性に多く好まれる。ここ新花さんでは数ある種類の花陽浴を3種選べるのみ比べセットがリーズナブルな価格で提供されている。もちろん、単品で心行くまで味わうこともできる。

 僕の知り合いにもこの“花陽浴”をこよなく愛する女性が居る。彼女にこの店のことを伝えたら目を輝かせて喜ぶに違いない。この『新花』さんは元々はその彼女がネットで見つけた店でもあるのだから。たまたま僕の住まいが近いということで下見に行ったのがきっかけだ。だから、いつか彼女を連れて行かなければならない。


 ここ『新花』さんは“花陽浴”だけではなく、他のも日本酒のラインナップも豊富なのだ。有名どころはもちろん、あまり聞き覚えの無いものでも「旨い」日本酒が揃っている。もちろん、日本酒に合う肴もある。辛口が好みの僕は米どころ加賀百万石の石川県車多酒造の名酒“天狗舞”をホタルイカの刺身で味わった。ガラスのお猪口に注がれたその酒は言うまでもないが敢えて言う。

「旨い!」

 そして、ホタルイカの刺身を一口。

「美味い!」

 本当に美味しいものはそれ以外の言葉を見つけられない。天狗舞に続いて選んだのは2016年の伊勢志摩サミットで乾杯酒として採用されて一躍人気に火が付いた三重県の蔵元清水清三郎商店さんの“(ざく)”この“作”も花陽浴同様に飲み比べセットがある。けれど、今回は単品で。そして、追加で注文した本マグロの中トロをいただきながら一口味わう。

「あー! 旨い!」

 僕はなんという幸せ者なのだろう。本当に日本人で良かった。




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