20.肉マイレージにハマった、いきなりステーキ
20.肉マイレージにハマった、いきなりステーキ
いつかは書かなければと思っていた。
僕のソウルフードについて。
それはステーキ。
いつからそうなのかと言うと、ここ数年のことになる。きっかけは『いきなりステーキ』の“肉マイレージ”だ。食べれば食べるほど順位上がり、規定の数量に到達するごとにランクが上がって行くというシステムにハマってしまったことにある。
ある日、休日出勤をした僕は休日出勤のご褒美にステーキでも食べようかと考えた。そこで訪れたのが『いきなりステーキ』だった。たまたま会社の近く、JR神田駅の南口にその店があった。初めて、それも一人で入るのには少し抵抗もあったのだけれど、思い切って入ってみた。
今でこそ、ほとんどの店舗で椅子席に変わってきているが、当時は立ち食いスタイルがメインだったので案内された場所で立ったままメニューを眺めた。せっかくなので、サーロインステーキを注文すると、量り売りなのでということで“カット場”という窓口へ案内された。
「サーロイン300gお願いします」
すると、一塊の肉をカットして計りに乗せながら、重さを微調整していく。最終的に300gを数g超えたところで尋ねられた。
「いかがでしょう?」
「いいですよ」
そこで焼き具合と付け合わせの変更確認をされたので、焼きはレアで、付け合わせはインゲンに変更してもらうことにした。サイドメニューは席で注文できるため黒ウローン茶とスモールサラダを注文した。配られた紙エプロンを付けて待つ。しばらくすると鉄板の上でじゅうじゅう音を立てながらサーロインステーキが運ばれてきた。店オリジナルのステーキソースをかけると更にじゅうじゅう騒ぎ立て、油が跳ねて湯気が立昇る。ナイフとフォークを手に取りいざ勝負!
「美味い!」
ステーキソースの風味が抜群なのと肉の柔らかさがちょうどいい。熱々の肉を口の中でホクホクさせながら一気に平らげた。
帰りに精算すると、キャンペーン中だということでメンバーズカードを貰った。これがいわゆる“肉マイレージ”カードだったのだ。数日前、テレビでこの『粋なるステーキ』のランキングを争う人たちの特集をやっていた。なので、そのシステムは知っていたし、そもそも、その番組を見たから一度行ってみようと思い、この店に来たのだから。
それ以来、ちょくちょく訪ねるようになった。食べるたびに順位が上がって行くのが面白かった。規定のグラム数に到達してランクが上がるとカードの色が変わる。食事の際に出すそのカードの色で優越感に浸ったり、自分より上のランクのカードを持つ人を羨ましく思ったりと、食事以外の楽しみもあった。
そうして僕は最高ランクの“ダイヤモンド”を手にしたのだけれど、間もなくシステムが変更になった。ただ、そうなる前に“ダイヤモンド”の赤いカードを手にできたのがこの『いきなりステーキ』業界での僕のステータスでもある。今はアプリが主流でこのプラスチックカードは手に入らないものだから。
最近はリーズナブルな新しいメニューも増えて以前と比べていきやすい店になっていると思う。
「さて、今日のランチはどうしようか…」




