19.九州豚骨ラーメンのこだわりの食べ方
19.九州豚骨ラーメンのこだわりの食べ方
九州出身の僕はラーメンと言えば豚骨一択なのである。あの乳白色のスープで育った僕は上京した当時に入ったラーメン屋で注文したラーメンのスープが黒かったのに驚いた。
「これは醤油ラーメンでは?」
思わずそう聞き返した。向こうではラーメン=豚骨だったから。
最近ではどこの店でもメニューに豚骨ラーメンがあるし、豚骨ラーメン専門店もある。豚骨ラーメンを気軽に食べられる世の中になった。
今や日本人の国民食ではないかと言うほどの人気を博しているのが“ラーメン”である。街を歩いていると必ず数件のラーメン店を見かける。それほど店舗数も多いのだけれど、それゆえ競争も激しい。次々と新しい店がオープンするもののいつの間にか消えているということも。そして、競争が激化していく中でラーメン自体も高級料理へと変貌している。出汁や具材にこだわり、一杯千円を超えるものもある。けれど、そんなラーメンを美食家が一言「美味い」と言えばその店は行列のできる人気店になる。それはもはやラーメンではなく高級料理に他ならない。
そんな中、激安で美味いラーメンが食べられる店があった。神田司町の『北京トマト』さんだ。あっさりしたシンプルな醤油ラーメンなのだけれど安くて旨かった。大ぶりのシュウマイ2個と炊き込みご飯がセットで確か450円だったと思う。残念ながら今はもう営業していない。
そして、安くて美味い豚骨ラーメンの店が秋葉原にある。昭和通りの一本内側の路地、公園に面したところにある『福の軒』さんだ。ラーメン390円。もちろんここで言うラーメンとは豚骨ラーメンだ。
ねぎ、のり、たまご、チャーシューなどのトッピングをプラスすれば自分好みのラーメンを演出できる。もちろん紅しょうがは入れ放題だ。けれど、僕は元のシンプルなラーメンのままで十分だ。これに明太子ご飯を付ける。明太子のほかに高菜ご飯もある。どちらも豚骨ラーメンと合わせるのには鉄板なのだけれど、僕は明太子派だ。定番の豚骨ラーメン定食だ。
そしてここのラーメンはチャーシューが抜群に美味い。実に薄っぺらいチャーシューなのだけれど、柔らかくて豚骨スープが良く絡んで最高の組み合わせなのだ。もちろん、麺は細麺。そして、硬さを選べる。柔らかめからバリ硬まで4段階の硬さが選べる。選べると言っても、豚骨ラーメンはバリ硬で食べるに限る。実際、バリ硬と硬めを食べ比べてみてもそれほど違いはない。普通と硬めでもそんなには変わらない。だったら、バリ硬で食べるべきなのだ。
この手の店では替え玉のシステムがある。スープはそのままで最初の麺を食べ終わる頃に替え玉を注文する。食べ終わったと同時に替え玉が届く。スープが少しぬるくなったところには柔らかめの麺がいい。最後に残ったスープに明太子ご飯をぶち込んで食べる。乳白色のスープに明太子が溶け出して淡いピンク色に染まる。蓮華で一気に口の中へかき込む。
「美味い!」
ラーメンも美味いが、これも美味い。これが九州豚骨ラーメンの醍醐味なのだ。




