14.美味いものの前では仕事の話など邪魔でしかない
14.美味いものの前では仕事の話など邪魔でしかない
東京に住んでいる方はお宮参りでここを訪れる方も少なくないのではないかと思う水天宮。半蔵門線水天宮前駅、日比谷線・都営浅草線の人形町駅、都営新宿線浜町駅などからアクセスでき、交通の便もいい。界隈には東京シティーターミナルや甘酒横丁、人形焼きの老舗『重盛栄信堂』、人形町通りにはからくり櫓など、いい雰囲気で下町情緒に浸りながらの街歩きには最適だ。
その人形町通りに京粕漬の専門店がある。『魚久』さんだ。この人形町通りの店は販売店なのだけれど、メイン通りから路地に入った場所に本店がある。そこでは粕漬料理を含む和食と美味い酒が味わえる。
その『魚久』さんにランチでお邪魔した。注文したのは“あじみせ定食”。銀鱈、鮭とその日のおすすめの三種の粕漬が味わえる。この日のおすすめは本さわらの粕漬だった。他に二種の小鉢と香の物とお椀が付く。先ずおすすめの本さわらから頂く。
「美味い!」
焼き物とはまた違った歯ごたえと濃厚な風味が何とも言えない。続いて鮭を頂く。
「美味い!」
まさに和食というのにふさわしい。そして、銀鱈。言うまでもない。どれも米が進むし、日本書のつまみとしても最高なのに違いない。
取引先のお客さんと夜に伺う機会があった。ランチとは別のフロアに案内されると、そこには寿司カウンターがあった。板前さんと2対1で向かい合う。もはや至極のひと時だ。ボクは初っ端から辛口の純米酒。お客さんは取り敢えずビール。そして、ランチでも頂いた鮭の粕漬を。やっぱり日本酒によく合う。それから白海老の天ぷら。これも美味い。
お客さんをそっちのけでボクは自分の食べたいものを注文する。お客さんはお好みで寿司を握ってもらい舌鼓を打つ。こういう時は仕事の話はしない。せっかくの美味しい料理と酒が台無しになるからだ。それはお客さんも承知している。美味しいものを食べに行くときはそんなものだ。
帰りに粕漬の盛り合わせを買って帰った。もちろん、それぞれ自腹で。
後日、この時のお客さんからお誘いがあった。近くのコンビニでコーヒーを飲みながら立ち話。これで仕事はまとまった。
もちろんここのコーヒーも美味かった。




