欲張りな旅人
夕陽に染まるオレンジ色の海は、全てが輝いて見えるようなそんな美しい景色です。
だけど、旅人は美しい景色を見ても満足をしていませんでした。
「もっともっと素晴らしい景色が他にもあるはず」
旅人は海まで案内してくれた村の男の人にお礼を言って、また素晴らしい景色を探す旅に出ます。
大きな町に着いた旅人は、町の女の人に素晴らしい景色があるか尋ね、町を見渡せる高台を教えてもらいました。
町の全てが見渡せるその場所は教えてもらったように、町の暖かさが伝わってくるような素晴らしい景色でした。
けれど、旅人は満足しません。
「もっともっと、素晴らしい景色があるはず」
そういって、また旅に出ました。
次に旅人がたどり着いた場所では、小さな子供が案内をしてくれます。
子供が案内してくれたのは、森の中に広がる大きな大きなお花畑。
色とりどりの花が咲き乱れていて、美しい綺麗な蝶々が飛んでいます。
とてもとても綺麗な景色です。
それでも、旅人は満足しませんでした。
「もっともっと素晴らしい景色があるかもしれない」
旅人はまた旅に出ます。
それから旅人は、空が映る湖や氷の洞窟、渓谷や満点の星空にオーロラ、虹のかかる滝、たくさんの素晴らしい景色を見て回りましたが満足することはありませんでした。
ある時、1人の子供が旅人に問いかけます。
「旅人さん、どれが一番すごい景色なの?」
旅人は答えます。
「一番なんて決められない。だから、まだまだ素晴らしい景色を探しに行くんだ」
そういって、旅人はまた素晴らしい景色を探すために歩き始めました。
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