プログラム・パラドクス
ディアオ 不問
サージェントpp 不問
サニー 不問 端役
メアリー・スー 端役 不問
モブ軍人 不問 端役
アリス 女性 端役
モブ携帯電話 不問 端役 笑わせてやれ
タラクネ区 王国陸上自衛軍 射撃場
軍人「リ少尉、相変わらず精度がたかいですね。」
ディアオ「ありがとう。
6発頭に命中したようだ。」
ディアオ「今、m1911a1(えむいちきゅういちいちえーわん)を撃っていたのは、私、リ・ディアオ少尉だ。
狙撃手を務めている。
私は元々治安維持組織と名乗る胡散臭い(うさんくさい)連中に利用されていたが、タラクネ区の治安を守るため軍に入り、真っ向から立ち向かう事を決めた。
そもそも、治安維持組織とは名ばかりで、奴らは組織の人間を捨て駒のように扱う。
対立組織であるタラクネ区の軍はうってつけの…敵の敵というわけだ。」
兵士「リ少尉は確か、中華の人ですよね、m93rとか使わないのですか?」
ディアオ「あれは警察の私物だ。
軍人の私には必要ない。
伍長、発言に気をつけたまえよ。」
兵士「冗談ですよ。
ガバメントを正確に撃てる人にグリップ付きのハンドガンなんていりませんから。」
兵士(相変わらず堅物だな、ホントはドイツ人じゃねーの?)
携帯「マッチョ!マッチョメーン!」
ディアオ「もしもし?…サニー?」
サニー「モヤシちゃーん、こんちゃ。
この間のさー、仮想空間の煉獄にウィルス送ってくれたのほんと助かったよ。」
ディアオ「何故私の番号を知っている…
私はお前の手助けなんかした覚えなどないぞ。」
サニー「いや〜、中華サーバーだったし、足跡ついてたかんね。
次からはダークウェブからアクセスしなきゃ〜」
ディアオ(ハッタリも通じないか…)
ディアオ「ここはうるさい、場所を変える。」
ディアオ「私は確かに治安維持組織のサーバーへウィルスを送った。
だが、たまたまだ。
私がお前を助けてしまったなら、それは大失態だな。」
サニー「まーまー、感謝してるんだからさ〜、報酬出すから受け取ってくんない?」
ディアオ「私とお前は殺しあったんだぞ。
報復の爆弾なんか送るんじゃないぞ。」
サニー「えー、心外だな〜!
画面の前の君もそう思わない?」
ディアオ「誰と話している。
それより、隣に誰かいるのか?」
サニー「メアリーの旦那がいるよーん。
旦那、大麻吸うために隣の区まで来てるんだよ。
しかも区の境目、検問所あたりのベンチで吸ってんの、ウケる」
ディアオ「変わってくれ、話がしたい。」
サニー「変わるも何も、僕電話使ってないんす。そのままおはなししたら良いんじゃない?」
メアリー「ガリ勉、筒抜け(つつぬけ)だぞ。」
ディアオ「久しぶりだな相棒!元気か?」
メアリー「勝手に相棒にするな、お前ら中華系は義理堅い(ぎりがたい)らしいがな、俺には相性悪いんだよ。
で、要件はなんだ。」
ディアオ「そこの狂ったオートマタと一戦やりあった時の事を今でも覚えている。
私は大変感謝している!
今度何か、バーでも行かないか?
祝杯をあげたい。」
メアリー「はぁー、じゃあ体で支払えや」
ディアオ「いいぞ」
メアリー「冗談に決まってんだろ。
まあ、仕事の依頼がある際は、番号を教えておくからそん時かけろ。」
ディアオ「ああ、その際は頼むぞ相棒!」
メアリー「なんなのこいつ…
サニーが報酬を支払うのは本当だ。
俺が保証する。」
サニー「旦那ぁ〜」
メアリー「やめろ寄るな、正直俺も欲しいぐらいの報酬だから受け取っておけ。
今日の午後、自衛軍の検問所にOPSがくるから。」
ディアオ「OPS?」
メアリー「知らないのか?それとも配備されてないのか?
オーバーパワードスーツの事だ。
いずれお前も使うんじゃないか。」
サニー「旦那さあ、いつもなんで周りにハトの死骸が散乱してんの?」
メアリー「じゃあな!」
ディアオ「切れてしまった…。
メアリーには恩がある、今の私があるのは彼のおかげだ。
今日の午後と言っていたな、あ、もう来る。」
タラクネ区 王国陸上自衛軍検問所前
ディアオ「ディアオ少尉だ、衛星配達が来るそうだが、来たか?」
兵士「リ少尉、まだきておりません。」
ディアオ「その時、一本の光と地鳴りが聞こえた。
その光は消え、巨大なロボットが立っていた。私はすかさず銃を取り出した。」
ディアオ「動くな!ここは王国陸上自衛軍だぞ!
パイロットはすぐに降伏しろ!」
パッカー
配達員「ちわー!三河屋でーす!ハンコオナシャース!」
ディアオ「こ、これは失敬!
このロボットがオーバーパワードスーツだったのか…10メートルはあるな…」
配達員「いや〜、OPSの配達は珍しいんすよ。
サンデイ・ウィリアムズさんからのお届け物です。
李周さんでお間違いないでしょうか?」
ディアオ「サンデイ?いや、偽名だろう。
本名まで筒抜けか…私がリ・ディアオです。私宛ですね。」
配達員「あざしたー」
軍人「リ少尉、サージェントPPがお呼びです。すぐに向かって下さい。」
ディアオ「伝令ご苦労、すぐに向かう。」
王国陸上自衛軍 研究室
ディアオ「参りました、サージェントPP」
PP「よく来たね、なんだっけ?」
ディアオ「え?」
PP「おーおー、それが例の厳重梱包のやつ?サニーくんから話を聞いてるよ、推しキャラなの。」
ディアオ(変な人だな…)
PP「開けてみよー」
ディアオ「待ってください!やつの事です、爆発物かもしれません。
ジャガーノートへ招集をかけます。」
PP「お、なんだこれ」
ディアオ「うわ爆発しますって!」
PP「火薬の匂いなんかしないって。
なにこれ、USBメモリかな?」
ディアオ「とりあえず対応できる兵士よんできます!」
PP「メモが入ってるよ、ディアオくん、これは君が読みなよ。」
ディアオ「あー!ドアがロックされてる!」
PP「大丈夫だから落ち着いてね。
サニーくんからディアオくんへのメモみたい。」
ディアオ「もう知りません!
始末書書かされますよ!
もう!」
サニーのメモ「あ、モヤシちゃん?
これね、独自形状の基盤で出来てんのよ。
バイオコアって言って僕が考えたんだ。
それには魂、DNA、RNA、テロメア、個人情報が入ってるから。
PP博士に渡した方が早いかもね。」
ディアオ「サージェントPP、どうぞ。」
PP「へー、面白いねこれ。
分解したら楽しそう。」
ディアオ「やめてください」
PP「あー、「プログラムパラドクス1」
「プログラムパラドクス2」
よくわかんないね。
1の方が容量が軽いみたいね。」
ディアオ「あなたには何が見えているのですか?」
PP「義眼なんだよね。
脳の一部と片目がサイボーグなの。
ディアオくん、これは私が預かっていいかな?
面白い事思いついちゃった。」
ディアオ「え、ええ。構いませんよ。」
PP「三日後、またここに集合ね。」
三日後
ディアオ「サージェントPP、失礼します。」
PP「ディアオくん?何か用事?」
ディアオ(三日後来いやって言いましたよね)
PP「ああ、はいはい、例のバイオコアね。
「プログラムパラドクス1」だけ復元出来たから、早速見に行こうか。」
ディアオ「同行します。」
王国陸上自衛軍特別収容室
PP「今ロック解除するね。」
ディアオ(知ってるぞ…この扉、三重ロック式なんだよな確か…うわあ嫌な予感しかしない。)
ディアオ「重厚なスライドドアが一枚、二枚と開かれていく。
私はその奥の光景に呆気にとられてしまった。
ユートピア、という言葉が似合うだろうか。
あたり一面が花畑になっていて、青空が広がり、すっきりとした甘い匂いが広がっていた。」
PP「こんにちは、アリスちゃん。」
アリス「PPちゃんこんにちは!」
ディアオ「あ……」
ディアオ「私は驚いた。
紛れもなく、アリシア・パーカーがそこにいたのだ。
パーカー一家惨殺事件の被害者、そして噂では近隣住民を撲殺して回った凶悪殺人犯がそこにいた。」
PP「紹介しよう、アリシア・パーカーちゃんです。
三日もかかっちゃってごめんね。
初日に設計、解析、二日目に人体生成、そして今日の午前中にバイオコアを脳核に組み込んだんだ。
いやぁ、面白かったよ。
サニーくんは親切でね、人造人間の脳みそを取り出して、衛星通販で買った脳核に、加工無しでバイオコアをアドオンとして組み込めたんだよね。
完璧な設計だったよ。
で、脳みそは食べたいらしいからサニーくんへ郵送したよ。
裏ルートでね。」
ディアオ「人造人間…ですか…」
PP「そう、人造人間、ホムンクルス。
コピーでもクローンでもない。
一番面白いのはこのバイオコアでね…
本当に彼女自身が内包されてたんだ。
だからこの子は脳だけサイボーグの正真正銘のアリシア・パーカーちゃんです。」
ディアオ「わけがわからない…」
アリス「……」
PP「アリスちゃん、どうしたの?」
アリス「このガリ勉だれよ」
ディアオ「なっ」
PP「この人は、ディアオくんって言うんだよ。
アリスちゃん、挨拶しましょうね。」
アリス「火薬くさいんだよバーカ」
ディアオ「」
PP「ディアオくん、あのね、上からの命令でさぁ…この子の監査任務が出ちゃったんだよねぇ。
ホント悪いんだけどさ、引き受けてくれないかなぁ。
経費出るようには交渉出来たから。」
ディアオ「デジャヴかよ…」
PP「デジャヴ?」
ディアオ「なんでもないです。上層部からの指令なら仕方ありません。
私は軍人ですから、不本意ではあります。
しかし、サージェントの期待には応えます。」
PP「ホント助かるよ。
私もたまに訪ねるからさ、記録をちゃんと残しておいてほしい。」
ディアオ(私の使命は治安の維持…私の使命は治安の維持…)
end