prologue
ねぇねぇ、そこの貴方。そう、貴方。
貴方は知ってる?
この街の外れにある鬱蒼とした森のそのまた奥に、豪奢なお屋敷があることを。
庭には四季の花が咲き乱れる。建物内の天井には輝くシャンデリアが吊るされている。葉っぱのモチーフなどの飾りが施された棚には曇り1つない銀食器が飾られている。まさに豪華絢爛という言葉が似合うようなお屋敷だけれど、一番すごいのはそこの蔵書の数さ。大きな棚いっぱいに、いろんな本が詰められている。簡単に読める小説から、分厚い辞典のような厚さのものまで。お屋敷の入り口の扉はなんだか近づきがたい印象を受けるような、ダークチョコレートのような色に、金細工の取っ手が施されているもの。でも、お客が気軽に入れるように門は開け放たれているんだよ。
そのお屋敷にはね、美丈夫な男主人が一人で住んでいて…迷い込んだ人を…人以外も、助けてくれるんだって。
見たところ、貴方にはなんだか探しているものがあるみたいだね。きっと、そこに行けば見つかるよ。
もしかしたら、知りたくないことを知る羽目になるかもだけどね?
お屋敷の名前は暁星館。森の中にポツリと建っているから、すぐわかると思うよ。
気が向いたり、行き詰まったら行ってみればいいよ。
君に、いい出会いがありますように。
閲覧、ありがとうございます。
本作、短編集になっておりまして、ラブコメからミステリー、若干重めのものまで、幅広く取り扱う予定でございます。それでもいい方は、どうぞ、おつきあいくださると幸いです。