004 学生寮が荷物置?
ビッスラーン大魔導学園。
そこで、始めに悠人が見たものは、リーゼから聞いていた様な怖い人ではなく、満面の笑みで迎えてくれているリーゼと同じくらいの歳に見える女子達と1人だけ小さい女の子がいた。
「君が悠人君だね。
私は、サラ・アルダートだ。この学園長をしている。よろしくな、新人。」
こう自己紹介をしたのは、1番幼く見えた女の子だった。
どう見ても、子供、小学生位にしか見えない。
「お前、こんな子供がとか思っているだろう?」
「い、いや!そんなことは!」
サラの放つただならぬ気配に、悠人は反射的に否定する。
しかし、そんな悠人は他所にサラはひとりで驚いていた。
「悠人、お前、魔導書と契約しているな?」
「あ、あぁ、まあそうらしい。」
何故サラが具現化していないファンタズムに気がつけたのか疑問に思いつつ、肯定する。
「ほぉ〜。なるほど。
まあ、いい。後で学園長室に来させてくれ。」
「誰を?」
「その魔導書に決まっているだろう。」
「な、なんで、その事を?
コイツの事を知っているのか?」
「なに昔の話だ。
聞きたければそいつに聞け。
おい、聞いてるだろ?
伝えるかどうかはお前に任せる。」
サラは、ファンタズムに向けたと思われる言葉を残して去っていった。
そして、少し行ったところで振り返る。
「そうだ、少年。
お前の部屋は用意してある。
405号室だ。鍵は部屋の中にあるから勝手にとっていいぞ。
それと、教師には敬語を使えよ?」
「は、はい!」
悠人は、サラから一瞬だけもの凄い威圧を感じ、ただ、そう答えた。
サラが見えなくなり、悠人が肩の力を抜くと、隣で顔を赤くして震えているリーゼに気がついた。
「ん?どうした?」
「・・・どうしたじゃありませんよ!!
学園長先生が405号室って言ってましたよね?」
「あぁ、言ってたな。」
「そこ、私の部屋ですから。」
「・・・えぇーーー!!!!????」
悠人の波乱の魔法師街道の幕開けだった。
あの後、悠人はリーゼ、具現化したファンタズムと共に学園長室に来ていた。
覚悟を決めて、ドアをノックする。
「ファンタズムか、開いてるぞ。」
中から声が聞こえ、ファンタズムが真っ先に扉を開ける。
「おっじゃまっしまーす!」
「失礼します。」
友達の家に遊びに来た小学生のようだ。
そんなファンタズムを横目に、悠人は話を始める。
「先生、リーゼと部屋がいっしょってどういう事ですか!?」
「ん?
なにか問題があるのか?」
「大有りですよ!
10代の男女2人ですよ!?」
「そ、そうですよ!」
何を言っているんだという顔をしているサラをみて、リーゼも加わる。
しかし、サラは全く考えを変えない。
「だからなんだ?
そもそも、あの部屋はほとんど荷物置き場の様なものだ。
リーゼ、お前はそれを知っているだろう?」
「はい。
ですが!」
「決定事項だ。
反論は認めない。
悠人、お前、船は大丈夫か?」
「船?」
「船酔いだ。」
「あー、一応大丈夫です。」
「そうか、なら、置くような荷物も無いだろう。
リーゼ、コイツ生活する部屋まで連れていってやれ。
お前と同じ所の32号室だ。」
こう言って、サラは座っていた机の引き出しから鍵を取り出して悠人に投げた。
「全くさっきから何の話だ?」
「そうだな、詳しい話はリーゼから聞け。
リーゼは成績優秀だからな。
もちろんそれくらいは説明出来るだろ?」
「わかりました。
では、悠人さん、行きましょう。」
謎がまた増えた悠人は、リーゼ、ファンタズムと共に学園長室を後にした。
「で、リーゼ。
さっきの説明をしてくれ。」
「わかりました。
これは、魔法師が歩んできた、この世界のもう一つの歴史の事です。」
短いですが、一旦ここできります。
出来れば今日中に、無理なら明日、続き(歴史について)を投稿したいと思います。