姉はめんどくさい
異世界に生を受けて一年が経った。
手足が自由にきくようになりようやく城の一部を歩かせて貰えるようになった。
そうは言っても何処へ行くにもマリアの付き添い付きでなんだが。
そんなこんなで平和な一年を過ごしたが最近厄介な事があるんだ・・・
ドッドッドッドッド
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド
ドッドッドッドッドドッドッドッドッドドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドドドッドッドッドッド
「ヤバイぞマリア!あれが来た!俺は居ない事にしてくれ!」
2歳に近づきまともに喋れるようになった。
まぁ、早すぎるかも知れないが日本語がこの世界では通じるのだ。
俺が日本語と勘違いしているかも知れないけれど日本語が通じるし記憶もあるせいなのか喋れるようになった。
まぁ、周りの人達は驚いていたがやはり『賢王』の息子とか『魔女』の息子だからという理由で納得しているから良いだろう。
そんなことよりも今のこの事態を対処しなければならない!
「若様、またですか?」
マリアは非常にめんどくさそうな顔をしている。
「あれが来たら俺はもう逃げる事にしたんだ!」
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッド
バァン!!!
勢いよく扉が開かれ
「クラマあああああ遊ぶわよおおおおおおおおおおおお」
「遅かった・・・」
「若様諦めて下さい。私は姉弟の仲睦まじい時間を邪魔する訳にはいかないので退出致します。アリス様、若様失礼致します。」
マリアは、ニッコリと微笑んで部屋から出ていった。
「マリアあああああああああああああああああああああ待ってくれええええええ俺を一人にしないでくれええええええええええええええええ!!!」
しかし、クラマの叫びは虚しく木霊するだけで誰も助けてくれない。
唯一手を差し出したのは
「さぁ!今日もやるわよ!」
「姉ちゃん、もういいでしょ?」
「イヤよ!もう一回よ!」
「はぁ・・・これで最後だよ・・・」
「姉ちゃん・・・」
「うっさい!もう一回よ!」
「さっき、最後って・・・」
「言ってないわよそんな事!!!」
「じゃあ、これで本当に最後だからね!良いね?」
「わかったわよ!」
「はい!終わり!」
「何言ってんのよ!もう一回よ!」
「いや、さっき最後の一回って・・・」
バコンッ!
「イッタ!痛いよー姉ちゃん!」
「もう一回よ!」
「はぁ・・・」
俺たちは一体何をしてるかって?
この世界では『シロクロ』というゲームをしているんだが、前の世界でいう『オセロ』だ。
ちょっとやるだけならいい。
しかし、コイツは勝つまでやるんだ!
え?わざと負けろって?
この姉なまじに頭が良いのかわざと負けたら気付いて殴ってくるのだ。
頭が良いと言っても所詮俺より5歳年上の6歳、体は子供頭脳は大人が真面目にやって負ける訳がない。
アリスイズムによって犠牲になった俺は、かれこれ5時間拘束されている。
この前、アリスの魔の手から逃れ身代わりとなったマリアは7時間拘束されていた。
終わった時のマリアは、ゲッソリとした顔になっていてそれ以来助けてくれないんだ・・・
「クラマの番よ!」
「はぁ・・・」
(誰でも良いから助けてくれえええええええええええええええええ!!!)
コンコン
クラマの声が神様、天使様、アイリス様に届いたのたかノックが聞こえる。
「どうぞー」
「失礼します!アリス様!やっぱりこちらにいらっしゃいましたか!」
そこには、マリアと同じメイド服を着た女性が入ってきた。
「ゲッ、マナ!」
「アリス様!また勉強の途中で抜け出して!今度ばっかりはリリス様に報告しますからね!」
「マ、ママはだめよ!」
確かに、お袋は恐いとクラマは頷いていた。
「いーえ、今度ばっかりはダメです!」
アリスへの死刑宣告がされ、マナと呼ばれた女性は監守、アリスは囚人の構図が出来上がり二人は部屋を出ていった。
しばらくの間アリスが俺の部屋に来なかったのは言うまでもないだろう。
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次は用事があるので木曜日にあげたいと思います。連続投稿出来なくてすいません。