決着
「血技!!!!!『盾』、展開!!!」
どこからくるかわからない迫り来る爪から身を守る為に、クラマは血の盾を前面だけではなく体全体を包む血の球体にした。
ガンッ!!!バリッ!
「グアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
ミリタリーベアの爪はクラマに刺さる寸前で盾に阻まれ、右前足の爪が折れ飛んでいき血がポタポタと流れ出て、爪が折れた痛みからミリタリーベアは咆哮をあげ、ジタバタと暴れまわっていた。
「ふぅ・・・・・危なかった・・・・・・」
初めてクラマは生死がかかった戦いをし、体力だけではなく精神的にも半端ではないほどのストレスがかかっており、戦い中にも関わらず思わず大きいため息を吐いた。
ミリタリーベアは痛みが収まったのか暴れるのを止め、クラマも『盾』を解除し、『剣』を形成して両者とも睨み合った。
「来いよ熊!!!」
「ガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ミリタリーベアは再び襲いかかろうと透過して周りからは見えなくなり第2ラウンドが始まった。
しかし、第2ラウンドは直ぐに終わりを告げる事になった。
クラマは透過したミリタリーベアを的確に捉え。
「その能力はもう意味ないぞ。」
クラマは透過して息を潜めていたミリタリーベアに『剣』を刺した。
まさか気付かれていると思わなかったミリタリーベアは虚をついたように驚き、痛みが襲う。
魔法耐性には強いミリタリーベアだったが物理攻撃に関しては弱かった。
「ンンンングアァアアアアアアアァアァァァァ!!!」
「とどめだ!『棘』!!!」
痛みにより透過が解けたミリタリーベアはクラマに向かって来たが、クラマの『剣』は枝分かれし鋭い『棘』となって、ミリタリーベアの全身を突き刺し、ミリタリーベアは絶命し倒れこんだ。
「やったか・・・・・」
ギリギリの勝負に勝ったクラマも倒れこみ初めての勝利に安堵した。
「坊やったら、本当にヒヤヒヤさせてくれるわね。フフフ。」
ネリベルはヒヤヒヤとした様子などなく酒をあおり微笑んでいた。
「今回はたまたま、ミリタリーベアが出血したから透過しても血は透過出来ていなくて勝てたわね。っと言ってもミリタリーベア以上の魔物はこの森には居ないしなんとか二日後には帰ってこれそうね。」
もう一杯グラスに酒を注ごうボトルを傾けるが数滴の雫が落ちるだけだった。
「あーあ、坊や早く帰ってこないかしら酒のあてがほしいわ。」
ネリベルの予想よりも早くクラマは1日半後に帰ってきた。
帰ってくる間にも角が生えた蛇や人ほど大きい蛾など多くの魔物の相手をしたがミリタリーベアほどの強さは無く思いのほかさくさくと帰宅の道を進んだ。
「師匠!この地図じゃ全く分かりませんでした!」
あまりまともな物を食べれなかったクラマは少し痩せこけ、ネリベルにもらった地図をテーブルに叩き付けた。
「良いじゃないの坊や、帰ってこれたんだから。それともなんか問題でもあったのかしら?」
「問題は無いんですが、と言うより全部問題といえばそうですし。じゃなくて!もうちょっと分かりやすく書いてくださいってことです!」
「だって、森よ?そこの路地を右曲がれって言ってもそういうわけいかないじゃないの。そんなことよりも早く食事にしてちょうだい?私もうお腹ペコペコだわ。」
「そんなことって!?・・・はぁ、もう良いですよ。師匠何が食べたいんですか?」
ネリベルはさも当然のように答えようとしたが
「「お酒にあうやつ。」」
「なによ、坊や分かってるなら早く作りなさい。師匠命令よ。」
「はぁ、分かりましたよ。」
森から帰ってきて疲れているが他ならぬ師匠の頼みだからと言って渋々作っているように見えたが、森にはなかった人心地を感じたクラマは自然と微笑んでいるようにも見えた。
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